里山づくりの第一歩 イベントで自然に触れ
市民が身近な自然に親しめる場をつくろうと横須賀市が進めている里山的環境の保全と活用の第一歩として、今月25日に「里山びらき」が行われた。市、里山実行委員会、里山活動連絡会の主催。地権者の協力を得て事業のモデル地区に選定されている長坂の沢山池周辺では体験イベントも行われ、約90人が参加。昆虫や植物を観察したり、自然遊びをしたりと、里山の環境に触れた。
長坂の里山は荻野川上流域の谷戸で、広さは約6200平方メートル。池のそばには水神の碑もあり、住民にとっては生活する上でも重要なため池だったことが分かる。約30年前までは耕作が行われていたというが、休耕地になってからは竹が生い茂るような状態だった。
水源を確保でき地権者の協力を得られることなどの条件から、市はここを事業のモデル地区のひとつに選定。今年に入ってから市民協働で草刈りなどの手入れが行われた。川から水をポンプで汲み上げ、約550平方メートルの田んぼも復元。里山再生に向けた取り組みが進められてきた。
複数のワーキンググループは生息する昆虫や植物、水質の調査を実施。三浦半島昆虫研究会によると、池の周辺にはトンボやチョウをはじめ、約220種の昆虫が生息しているという。観察時に分かりやすいよう、草花の名前を記したラベルを貼るなど準備をし、この日の里山びらきと自然体験イベントを迎えた。
「始まったばかり」
現地では自然観察会、里山林の手入れ、親子自然遊びの3つの体験プログラムが行われた。
自然観察会では、同昆虫研究会や横須賀植物会のメンバーらがガイド役となり、動植物の名前や生態を解説した。このほか参加者は荻野川の水質調査も行い、「綺麗な川」の指標になるというアメンボやプラナリアなどの生物も発見。豊かな自然を体感した様子だった。
同実行委員会委員長の天白牧夫さんは「(里山の)再生は始まったばかり。これから、どのようなイベントを行うのかといったソフト面を考えることが大事になる。今回、取り組みに関心のある方にも出会えた。イベントを通じて賛同者も募りたい」と話していた。
市環境企画課によると長坂の里山では10月と来年3月に「市民観察会」の開催を予定しているという。
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