稲作を通じた自然体験を提供する「よこすか田んぼ研究会」の代表 あさば りえさん 太田和在住
自然を感じる「入口」提供
○…長らく遊休地となっていた田んぼを自身と夫で開墾して、子どもたちに稲作体験の機会を提供している。2日に行われた田植えを楽しむイベントには50人の親子が参加。活動報告のブログを偶然見つけて都内から足を運んできた人もいた。「素足で感じる土の感触をただ味わってくれればいい。そこから何を感じるのか。自然を考えたり、農業を考えたり。そんな『入り口』を提供したいと思っている。難しい話は一切抜きで」
○…会の活動は3年目に突入した。年間で200人が出入りする規模になったが、目的は米づくりではない。自然の中に身を投じることで得られる学びに力点を置いている。「道理通りのことをやる」というのが持論。「物事の善悪や普遍的な仕組みは全部自然の中にある」。田んぼでの作業や泥遊びを通じて言葉ではないメッセージを届けている。それは子どもたちだけでなく、一緒に参加する大人にもだ。
○…かつては農業とは無縁の生活を過ごしてきた。自然や環境にも興味は向かなかったが、仕事と子育てに息が詰まりそうになった20代後半。庭先で田んぼの真似事を始めたら心に平穏を取り戻すことができた。自然の持つ魅力に開眼。「田んぼに足を踏み入れて泥遊びに興じるだけで無口な子が表情豊かにしゃべり出す。子どもなら2時間で変化する」
○…手掛けている田んぼの大きさは1反ほど。秋には10俵の米が収穫できるが、味に関しては首をひねる。「水質の問題などがあり簡単ではない。美味しさを求めるなら、買ったほうがいい」。何でも簡単に揃ってしまう世の中に少なからずの疑問を感じる。「課題があるから解決の道を考える。自分たちで賄える範囲も意識するようになる」─4人の子どもにもそう伝えている。田んぼは最高の教材。すべてを教えてくれる。
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