今月26日に開幕するデフリンピックに棒高跳びの日本代表として出場する 佐藤 麻梨乃さん 池上在住 17歳
「誰よりも高く」
○…4年に1度行われる聴覚障がい者の総合スポーツ競技大会「デフリンピック」。その大舞台に棒高跳びの日本代表として出場する。「外国人選手と闘ってみたい」という憧憬を実現させるため”世界”舞台にこだわり、練習に打ち込んできた。今回の吉報は素直に喜びながらも「やっと世界のスタート地点に立てたところ。まだまだこれからです」と謙虚さの中に不屈のアスリート魂を覗かせる。
○…市立ろう学校に通う高校3年生。棒高跳びとの出会いは昨年7月、陸上部顧問の勧誘だった。それから頭角をあらわすまで時間を要さなかったのは、幼い頃にやり投げや体操などで培った運動能力だけでなく、顧問も自身と同じ聴覚障がいを持つ棒高跳びのトップアスリートであることが大きい。今大会の日本代表にも選ばれており、「悩みを共有した上で的確な指導をしてくれる」。二人三脚で技術を高めあい、子弟で表彰台の頂上をめざす。
○…自分の身長の倍もの高さをいとも簡単に軽々と飛び越える。「体がフワッとする感覚が好きで、ここまでハマるとは思ってもみなかった」と笑い、高さや恐怖感などどこ吹く風といった様子。一見、ハンデを感じさせない跳躍だが、見えない苦悩も当然ある。より高く跳ぶには助走が要だが、自分の足音が聞こえないことで正しい足運びや荷重のバランスなどを瞬時に把握することが難しいという。ハンデを跳ね返すには練習あるのみだ。
○…キャリア1年。今や棒高跳びは生活の中心で平日は部活、休日はクラブチームで汗を流す。「全ては目標達成のため」。納得いく跳躍ができるまで一心不乱に跳ぶ。真っ黒く日に焼けた肌はそんな日々の勲章だ。今大会の目標は、世界ろう記録3メートル02の更新と金メダル獲得。現在の自己最高は2メートル80、世界記録まであと22センチに迫る。「日本に必ずメダルを持ち帰ります」。表情には自信がみなぎる。
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