あんしん農園 事業多角化で雇用創出 障がい者による営業活動も
市内林にあるNPO法人「あんしん農園」は知的障がい者の仕事の創出と安定収入の確保、地域貢献をめざし、多角的な事業展開を行っている。今月から新たに高齢者向け口腔ケア剤の代理販売事業を開始。今後は障がい者による営業活動にも力を入れる。
同施設は地元の障がい児を持つ保護者らによって2010年に開設。現在9人が通所する。一般的な障害者就労施設では、主に手作業による商品の製造販売を行っているが、あんしん農園では多角的な事業展開を図っている。太田和にある約200平方メートルの畑で無農薬野菜を栽培し、加工品を製造。そのほかジャム、菓子の製造販売を行う。開所4年目、素材や品質にこだわることで売上は微増傾向だが、施設利用者の工賃は月額1万円弱と水準は低く、全国的にも問題となっている。その背景は様々だが「障がい者が生産可能な商品と消費者ニーズとの溝、販路の限界などが挙げられる」と土橋理事長は伸び悩みの原因を分析する。
現状を打開する新事業として今月から高齢者向けの口腔ケア製品「オーラルピース」の代理販売を市内で初めて開始した。うがいや歯磨きが困難な要介護高齢者や重度心身障がい者らの虫歯や誤嚥性肺炎を抑止する口腔ケア剤で、横浜市の企業が障がい者の就労環境と収入源の確立を目的に製造し、障がい者就労施設へ販売委託しているもの。製品は1個千円で販売され、そのうち350円が障がい者就労施設の利益となり、工賃になる。現在、あんしん農園では店頭販売のほか、近隣の高齢者介護施設や重度障がい者施設向けに出荷、納品を行う。今後は健常者のスタッフに障がい者が同行する形で、二人三脚で営業活動を展開していくという。
雇用促進に積極支援
障がい者の就労意欲が高まる一方、雇用環境の不足は全国的な課題となっており、横須賀市も障がい者の雇用確保と職場定着にテコ入れを図っている。
障害者雇用奨励金(障がい者を3カ月以上雇用しようとする事業主に月額4万円を支給)や特例子会社設立支援事業助成金(障がい者雇用を確保するため市内で特例子会社または新たに事業所を設立する企業に助成金を支給)などを整備し、経済的な支援を行っている。市は横須賀商工会議所、よこすか就労援助センターと共にで市内企業へ対し、雇用促進の呼びかけを行っている。
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