避難所運営を円滑に 森崎・大矢部地区でマニュアル作成
大規模な震災が起きた時、どのように避難すれば良いのか―。横須賀市では震災時の避難所として市立小中学校(70校)を指定している。しかし、実際の運営に関してマニュアルが整っていないのが現状だ。森崎・大矢部地区では、5年前から避難所運営に関するマニュアル整備に着手。取りまとめた計画に沿って9日に大矢部小、16日には森崎小・大矢部中で避難所運営訓練が行われた。
この日の想定は、三浦半島を震源とする直下型の地震が発生した、というもの。16日に訓練を行った森崎小では、各町内会と若草幼稚園・森崎保育園の保育士らが続々と集団避難した。その後、避難所となる体育館の安全を確認し、避難者数や災害状況を取りまとめて、施設管理者(校長)に報告。さらに、避難者の個別台帳となる「避難者カード」を記入し、情報の取集を行うなど、マニュアルに沿って訓練が進められた。
続いて、町内会別に総務・情報広報・食料物資・環境衛生・救護福祉に分かれて初動活動を実施。飲料水の確保やトイレの管理、負傷者への応急手当など、実際に動いて確認した。
訓練の運営委員長として、指揮を執った衣笠団地自治会の水嶋康男さんは「”もしも”の様々なケースを考えた訓練と検証は必要。こうした地域での連携は減災につながる」と振り返る。このマニュアル作りに携わっている、森崎小学校の赤池知彦校長は「避難所に指定して終わり、ではない。避難者がどのように動くべきか、他人任せではなく共助で動ける基盤づくりは急務」と話し、「東日本大震災でも避難所運営に関して、課題がたくさん見つかった。これらの教訓から学び、訓練をしながら常に運営体制の見直しを図りたい」と見据える。
横須賀の現状は
市内の70カ所で指定されている横須賀市の震災時避難所。防災収納庫が設置され、さまざまな資機材を保管しているが、避難所運営に関しては「運営委員会を設置するよう努める」という段階にとどまっており、1/3の学校では未設置だ。収納庫のカギの所在から避難所での指揮系統・連絡系統まで、災害時に避難者が自主運営を行い、混乱を引き起こさないためにも、運営委員会の組織化と「運営マニュアル」は必要だとされる。
市では今回の訓練と運営マニュアルを再度検証し、各地区の状況に応じて運用できる「ひな型」を作成していく予定。また、避難所運営委員会に関しても、できるだけ早い時期に全地区で設置できるよう、働きかけていく方向だという。
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