水仙の植栽で野比海岸の美化活動を行う「水仙の会」事務局長を務める 中門 常夫さん 野比在住 71歳
活性願い一球入根
○…毎年1月半ばを過ぎると、野比海岸には水仙が咲き乱れ、潮風に乗って漂う甘い香りが一足早い春を感じさせてくれる。その数、優に40万株を超えるという。11年前から同地で海岸清掃や草花の植栽活動を行う「水仙の会」が、手塩にかけて育てた努力の結晶だ。会の活動は決まって毎週日曜の朝6時頃から。「丹精込めただけ花は必ず応えてくれる。苦労より達成感が勝ります」。今年もまた開花の時季を迎え、満足そうに顔をほころばせる。
○…千駄ヶ崎トンネルまで真っ直ぐ伸びる野比海岸は、眺望の良さが自慢の地元ランナー御用達のジョギングコース。しかし、約10年前まではゴミと雑草だらけの荒れた歩道だったという。「何とかしたい」。その一心でマラソン仲間らと始めた清掃だったが、仲間の提案で人が憩える空間を作ろうと決意。潮風に強い水仙を植えたのがきっかけだ。
○…今後の展望を問うと「野比海岸をウォーキング、ジョギングコースのメッカにしたい。他地区から大勢の人に来てほしい」と情熱を込めて語る。壮大な夢と笑う人もいるが、もともとは何の変哲もなかった道が、地道な活動によって今では「水仙ロード」の愛称で多くの人に親しまれるまで成長を遂げた。「夢は抱くだけじゃない。描き、語り、動くことで叶うものだと信じています」。どうせ描くなら大きい夢を。20年後には日本屈指の景勝地になっているかもしれない。
○…「水仙を通して北下浦の地域力の高まりを感じる」。6人で始めた水仙の植栽は、地元町内会や小中学校・行政も賛同。毎年何千個もの球根が街中に植えられている。現在は「水仙の街・北下浦」をめざして地域活性の一方策として取り組まれ、来月2日には同地を舞台に、ウォーキングイベントが初開催される。水仙は見頃を迎え、準備は万端。「最高の景色を早く皆さんに歩いてもらいたい」誇らしげに語る姿は、凛と咲く水仙のようだった。
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