市民病院小児科外面から続く 入院再開求め陳情「再開に向けて努力」 西地区の連合町内会が市議会へ
長坂にある横須賀市立市民病院の小児科が4月から入院休止することに関して、西地区の大楠・長井・武山の各連合町内会が、再開を求める陳情を市議会に提出した。地元への説明や周知が事前にされなかったことへの不信や、西地区の医療体制の後退に不安が広がっている。
市では、医師の不足と患者の減少が、小児科入院診療休止(診療縮小)の理由としている。昨年末に西地区の議員数人に伝えられたのみで、市議全員と地元町内会に説明があったのは1月に入ってから。町内会側が市に説明会の開催を求め、2月中旬、各地区で実施された。その席で「市民サービスの大きな変更。決定事項を知らせるのではなく、住民に周知することが必要」などと不信の声が多く上がった。さらに「今後、この地域の医療体制がどうなるのか心配だ」「小児科病棟がなければ、分娩の再開もできなくなる」といった意見もあり、3つの連合町内会の連名で、市議会に入院再開を求める陳情書を提出した。
4日に行われた教育福祉常任委員会でも、医師確保に関する市の姿勢や、再開に向けた方向性など様々な質問が上がっている(陳情の審査は12日に行われる予定)。
市民病院と西地区の現状
小児科の診療縮小の要因となったのは産科の廃止だ。同院は2010年、産科医の不足で産科をとりやめた。この影響でNICU(新生児集中治療室)も閉鎖。これによって、入院患者の減少も顕著となった。一方で西地区では、もともと小児科が少なく、内科と併せた診療所も数件。だが、市民病院への通院は紹介状を要するなど、受診しにくいという現状もある。受診件数が少ないため、「経験を積んで腕を磨きたい」という若手医師の離職も進む。
4月以降、市民病院では外来の診療時間を午後3時まで延長し、平日の1次救急は午後5時まで対応するなど診療形態を充実させるとしているが、日曜日の2次救急は行わないという。
市長「あくまで休止」
2月に行われた市議会定例会でも、入院休止について吉田市長に質問が上がった。市長は廃止ではなく「休止」と強調。入院に関してはうわまち病院で対応するため、休止に関する影響は少ない、と話す。産科再開の見通しについては、医師派遣を横浜市大に要請している状況と説明するに留まっている。また、指定管理者(地域医療振興協会)と市との間で管理運営協議会の実施を強化し、両院の機能充実、再開に向けて努めていくと話している。
今春、横須賀共済病院では小児科医の増員(市大からの派遣)で、周産期・小児医療の拡充が見込まれるという。中央地区に病院が集中していることもあり、「市民病院に周産期医療を集約することで、地域格差を縮めることができるのでは」との意見もある。市民病院だけでなく、市内の拠点病院、地域医療体制の”在り方”が問われている。
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