横須賀市は今月から父子・母子世帯(ひとり親)の親の就労支援策として、市内事業者に積極的な雇用を求める「ひとり親サポーター企業」の募集を開始した。行政が旗振り役となり、人手が欲しい企業と求職者を結ぶ取り組み。官民が連携し、所得の低いひとり親家庭の生活基盤を安定させ、自立促進をめざす。
平成24年の統計によると全国の離婚率は1・87、神奈川県は1・88で推移するなか、横須賀市の離婚率は1・94と高い。また、市内人口が年々減少しているにも関わらず、児童扶養手当の受給者は、3504件(平成26年11月時点)で1年前と比べて横ばい傾向。低所得のひとり親世帯が増え、生活水準の向上に時間がかかっているのが現状だ。
市は医療費助成や水道料金の減免など経済的支援と併せて、生活基盤の安定をめざす就労・自立支援策を拡充。就労相談、スキルアップのセミナーやパソコン講座を行っているほか、「試験に適した服装が分からない」「厳しい経済状況下でスーツを用意できない」というシングルマザーのニーズに応え、2013年11月から就職面接用スーツの無料レンタル事業もスタート。支援体制のさらなる強化を図っている。
昨年2月、市は県労働局に無料職業紹介事業の登録を申請。就職の仲介が可能なったことで、相談に訪れるひとり親の生活環境や特性に即した仕事の斡旋ができるようになった。1年目の今年度はすでに約40件のマッチングが成功している。
街ぐるみで支援
市こども青少年給付課は求人情報数を増やそうと、横須賀商工会議所に協力を依頼。ひとり親の雇用を積極的に行う企業「ひとり親サポーター企業」の登録を募るため、今月初旬に商議所を通じて、約2000の市内事業者へ取り組みの賛同を呼び掛けた。
市担当者によると慢性的な人材不足を解消したい介護・福祉業界などを中心に、1週間で7社からの登録申込みがきており、実際に求人情報を提供している事業所もあるという。地域貢献によるイメージアップやPR効果、ひとり親の雇用を奨励する助成金(特定求職困難者雇用開発助成金/一定の受給要件あり)が労働局から30万円〜最大90万円受けられるなど、「採用する企業側の利点もあるので、1社でも多く賛同してほしい」と話す。
通勤時間の短い地元で、境遇に理解のある「サポーター企業」に勤務できることは、家庭と仕事の両立をめざすひとり親当事者にとってもメリットは大きい。まさにWin―Winの仕組み。市は今後もサポーター企業の募集を継続。求人開拓を図り、一人でも多くのひとり親の就業をサポートしていきたいとしている。
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