津久井の絵本専門店で原画展「草むらの小宇宙」を開催している 岡本 よしろうさん 二葉在住 42歳
「楽しませる絵」が原点
○…柔らかな色と、繊細な筆遣い。小学生向けの科学月刊誌「たくさんのふしぎ」の新刊で、絵を担当している。その原画展「草むらの小宇宙」を開催中だ。
○…紆余曲折―。人生を一言でいうなれば、こうだ。出身は山口県。自営業の両親の傍らで、寂しさを紛らわすように絵や工作を楽しんでいた。優等生だった少年は、進学校で挫折を味わうことになる。そこで熱中したのが柔道。しかし腰を痛め、手術前に手持ち無沙汰で書いたのが、ギャグ漫画だった。自信を持って雑誌に投稿したが、「あと一歩で賞」と落胆。「デッサン力が必要」と美大予備校へ進路を大きく変えた。大学では油絵を専攻し、卒業後も製作活動を続けていたが、当時のタッチは抽象画。内面を追求する作業に行き詰まり、20代は「実家に戻り、引きこもっていた」。自分以外には理解しえない世界を脱するのに数年。「試しに奥さんの講評を参考に描いてみたら、表現が面白くなった」。それ以降、作風は具象画や造形作品へ一変。絵本の仕事まで舞い込むようになっていた。
○…「君が運転手で僕がエンジン」。大学で出会った温子夫人は、その”暗黒時代”も版画の創作活動をしながら、寄り添い続けた。絵に関しては手を抜けず、とことん調べる性分の自分を補う存在で、最大の理解者。「2人で1人」なのだ。さらに、故郷の宇部で支えてくれた人々、仲間との出会いは大きな財産。石のように凝り固まっていた時代を経て「動けば何かついてくる」と確信している。
○…夫人の出身地である横須賀に居を移して6年。前作「生きる」の絵は、横須賀の街角をイメージして描いたもの。ここで暮らしていたから表現できた作品だ。最近、ふと思い出す場面があるという。幼い頃、友達に頼まれて戦隊ヒーローを描いていた。「周りに喜んでもらっていた」当時の空気感が自分の原点。より多くの人の笑顔に出会いたいから―筆を持ち続ける。
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