神奈川県内でデイサービス事業などを展開する社団法人「スマイルメーカー」(本社=佐原5の22の5)は、高齢者のもつ夢の実現を手助けする取組みを行っている。年齢を重ねても夢や希望をもってもらうことが目的。今月8日には「尊敬する画家の絵を見たい」という須藤新一(66)さんの夢を叶えた。
同法人では、昨年度から「夢の発表会」と題したスピーチコンテストを開催している。利用者たちに自身の夢を語ってもらい、スタッフや他の利用者から最も共感を受けた「夢」に対し、同法人が資金面など、全面的にサポートするというものだ。「自分の夢について考える事や、人の夢を聞くことで、前向きに生きようとする人が増えていると感じる」と前川有一朗代表理事は手ごたえを口にする。
多くの高齢者と接している中で、「早く(天からの)迎えが来ないかな」と後ろ向きな言葉を耳にする機会があったという。高齢者にも前向きな活力を持って過ごしてほしいという思いでこの企画を始めた。
「奄美大島に行きたい」
「尊敬する日本画家田中一村の美術館に行って、彼の絵を見たい」―。今年1月に行われた「第2回夢の発表会」では金谷在住の須藤新一(66)さん=写真(左下)=の夢が選ばれた。須藤さんは半身麻痺の状態で、利き手が使えなくても左手で絵を描く活動を続けていた。
昨年友人宅で見た一枚の絵―。ハガキサイズの小さなものだったが「60年以上絵を見ているが衝撃を受けた」と話す。それが「不喰芋(くわずいも)と蘇鉄」という作品だった。「生涯現役で絵の上達に励む」をモットーに掲げる須藤さん。奄美大島にある彼の美術展を見て、刺激をもらいたいと今月8日同島に渡った。
実際に美術館で一村の作品と向かい合い「見てわかったことは、絵一つ一つの細かさ。石、葉、どのタッチも細かい。私に足りていない部分が分かった」と口にした。「もう人生でやり残したことはないよ」と冗談めかして笑うが「彼の絵を見て学んだことも多い。今後の活動に生かしたい」と決意を語る。
来年5月に池上市民プラザで開く個展に向け、今回の経験を機に更なる上達を目指す。
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