今月20日に行われた国の中央防災会議主事会議で、原子力艦の災害対策マニュアルが一部改訂された。災害時の屋内退避・避難の判断基準となる放射線量率は毎時100マイクロシーベルトとなっていたが、原発の避難基準と同じ、5マイクロシーベルトへ引き下げられた。横須賀市では、原発と原子力艦で二重基準となっていたことから、国に対して改訂を要請していた。
米海軍横須賀基地に原子力空母ジョージ・ワシントンが配備されたのが、2008年。今年10月、同艦と同型のロナルド・レーガンが後継艦として配備されている。これまで、原子力艦災害時の災害対策マニュアルでは、毎時100マイクロシーベルトで半径3Km圏内を屋内退避の判断基準としていた。
一方、国は福島での原発事故を受け、避難基準を厳格化した。毎時5マイクロシーベルトを超えた場合、5Km圏内は避難、30Km周辺を屋内退避と改訂したが、原子力艦は対象外。避難基準の違いを指摘する声が広がっており、横須賀市も国に対して13年から毎年、要請活動を行っていた。
今回、一部が改訂された災害対策マニュアルでは、原発避難基準と同じ5マイクロシーベルトへ引き下げ。吉田雄人市長は「再三、要請を重ねたことについて、目に見える進展があったことは評価したい」と話す。しかし、避難区域については、まだ結論が出ておらず、現状(3Km圏内)のままだ。
「範囲見直し求める」
今年、市民団体が行った1万人アンケートでは、原子力空母の安全対策が「不十分」と考える回答が半数を占めた。「もしもの時の対応が知らされていない」「国や市は、市民を守れるのか」と不安も高まる。原子力空母母港化を問う市民の会の共同代表・呉東正彦さんは「現状、3Km圏外は訓練も行われておらず、避難区域拡大が喫緊の課題」と話す。同会では、防災対策範囲の見直しを求める要望書を市に提出、「広域訓練や市外自治体との災害対策の連携など横須賀市が中心になって声をあげてほしい」と呉東さん。来月の同マニュアル検証作業委員会では、原子力艦が配備されている横須賀市を含めた3市の意見聴取が行われる予定だ。
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