例年1月下旬から3月上旬がピークとされるわかめが天然・養殖とも、不漁に見舞われている。市内では特に相模湾側で大きな影響。今年は暖冬で水温が高く、わかめなど海藻類を餌とする小魚が、湾内で越冬していることが要因とされている。地元漁師らにとって大きな打撃となった。
「50年で一番の不漁」
「全く獲れないから、早々と海から引き揚げたよ」。港に置かれた養殖わかめの種付けロープを見ながら、現状を話すのは佐島の漁師。例年なら3月に入っても続けるところが多いというが、現在同地域で漁を続けているところは約30軒中2軒のみ。50年以上の経験がある漁師も「こんなに獲れなかったのは初めてのこと」と困惑の言葉を口にする。
今年は三浦半島全体でわかめが不漁だ。市内の状況を見ると、東京湾側の走水などでは例年比3分の2程確保できているところが多いが、佐島や長井などの相模湾側は壊滅的。水揚げゼロの漁師も多いという。
例年は水温が下がり始める11月の終わり頃に種付けし、1月下旬から3月にかけて収穫を行うが、今回に限っては一向に芽が出なかった。再度種付けをしても結果は変わらず、今シーズンの収穫をあきらめたところがほとんどという状況だ。冬場の時期にできる漁が他になく、漁師たちにとって”大打撃”となった。
小魚が湾内で越冬
神奈川県水産技術センター(三浦市)は「暖冬による海水温の高さ」を不漁の原因と見ている。特に湾が開けている相模湾は黒潮(暖流)の影響を受けやすく、同湾三崎港沿岸のデータでは12月時点で1・3度、1月時点で2・5度、例年に比べ水温が高かった。わかめの生育を妨げたことに加え、本来なら暖かい場所に移動するアイゴやボラといった小魚が湾内に留まることで、わかめなど海藻類を餌にしてしまっているという。
来年以降にも影響
今後への影響も心配される。販売を行う漁師らはわかめの注文を受けても発送できず、断るケースが続出。「信用が落ち、常連客が離れてしまうのではないか」と長井の漁師は危惧する。
また、今後種付けする予定だった胞子も取れておらず、来年の出荷量が減る懸念もあるという。前出の漁師は「他地域から買うなどして対応していきたい」と話している。
同地域では今回の事態を受け、漁師間で次回以降の対策案を話し合っているという。予算や道具の問題はあるが、わかめの養殖エリアをいかだで囲むなどで、暖冬による小魚の食害防止策を検討している。
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