「国内で唯一、鎮守府・軍港が置かれた歴史を共通ストーリーに、まちの賑わい創出へ」―。明治期に海軍鎮守府のあった旧軍港4市(横須賀・呉・佐世保・舞鶴)が連携し、文化庁に共同申請していた『日本近代化の躍動を体感できるまち』が、このほど日本遺産に認定された。今後は、協議会を立ちあげ、遺産活用や環境整備などに取り組んでいく。
「鎮守府のあった『旧軍港4市』の近代化遺産と、まちの魅力が高く評価された」と、横須賀市の吉田雄人市長は喜びを表した。今回、文化庁は全国から申請のあった67件のうち、19件を「日本遺産」と認定。吉田市長は「改めて、横須賀製鉄所に始まる近代横須賀の歴史と文化に、誇りを感じた」と話す。
特色あるストーリー
日本遺産は、歴史的魅力や特色、伝承・風習などを通して地域の活性化を図る事業で、昨年から認定を開始。年1回、都道府県を通じて公募し、文化庁では訪日外国人観光者数の増加を見込み、2020年までに概ね100件の認定を目指しているという。
その特徴は「ストーリー」を重視している点。歴史背景や文化・風土も絡めて、一体的にPRすることが可能だ。自治体を跨いだ広域での観光施策も展開しやすくなる。
近代化「始まりの地」
今回、横須賀市をはじめとした旧軍港4市が申請したストーリーは「日本近代化の躍動を体感できるまち」。1884年、横須賀に鎮守府が置かれ、呉・佐世保・舞鶴にも開庁、軍港として栄えた4市。戦後、平和産業港湾都市に転換した共通の道のりがある。各市には、日本の近代化を支えた建造物や歴史資料が今も多く残っており、日本遺産に登録される構成文化財は、旧鎮守府の庁舎や砲台、鉄道・水道施設など4市で計80点にのぼる。
今後は「近代化に伴う国家プロジェクトとして生まれた軍港都市」「静かな農漁村に人と先端技術が集まり発展」「海軍由来の食文化がまちに浸透」―という共通のストーリーを基に、4市で活用推進の協議会を立ち上げ、具体的な事業内容を検討していく方向。市担当者も、「情報発信を共同で行えるのは大きなメリット。PR効果も高くなる」と期待する。
申請に先立ち、昨年11月には吉田市長をはじめとした4首長が集い、近代化遺産の活用を探るシンポジウムも行った。すでに、4市ではカレーや肉じゃがなど、海軍に由来のあるグルメをテーマに持ち回りでイベントを実施しており、17回目となる今年は横須賀が会場となる。11月の産業まつり内で、「海軍グルメ交流会」が催される予定だという。
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