塚山公園の植物をガイド本「花ってなあに」にまとめた 吉江 宏さん 西逸見町在住 70歳
魅力発信、足元から
○…初夏の風が吹き抜ける西逸見の柿の谷戸(かきのやと)。ここに居を構えて約40年。「身近にある自然の魅力を伝えたい」と、植物と散策のガイドを自費出版する。
○…著書は3冊目。前の2冊は三浦按針について、仮説を交えてまとめたものだった。その生涯を調べるようになったのは教員を退職した10年前。「次から次に疑問が湧いて」、キャンピングカーで国内ゆかりの地を旅し、資料に当たった。もともと理科の先生。「実験のデータが何よりも基本。史学も同じで出典の原本や史跡を辿って実証していくのが私の手法」。家康はなぜ領地を与えたのか、按針が日本に来た意図は―?「これなら何時間でも話せるよ」とニッコリ。史実を繋ぎ、仮説を巡らせる楽しみと歴史のロマンを「伝えたい」という想いが溢れる。
○…学生時代はサンショウウオなどの生物研究の傍ら、山岳部では部長。結婚を機に西逸見へ越してきたが、当時は都内の職場との往復で”足元”をじっくり見渡すことはなかった。群生するニリンソウや在来種のカントウタンポポ、絶滅危惧種のトウキョウサンショウウオなど、本来の研究者の目で見ると、単なる「自然豊か」という言葉以上の環境。ガイド本で紹介する植物は170種近く。花そのものの成り立ちも含めて、「分かりやすく伝える」ことを重視した。貴重で稀少。移り住んできた自分ならではの視点もある。「(退職後)10年の集大成って言えるかな」と恥ずかしそうに笑みを見せた。
○…そしてもうひとつ、フィールドワークが加わった。逸見の谷戸や塚山公園一帯は「コロボックル」シリーズの舞台。先ごろ、地元の仲間と立ち上げた「コロボックルの会」は、按針と自然環境を加えた3本柱で魅力発信に力を入れる。”小人”が通ったであろう小径には「看板と人形を置いてあるんだよ」と少年のような眼差し。里山のワクワクに心躍らせる日々を、謳歌している。
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