国の示した「放課後子ども総合プラン」では、安心安全=学校として、この活用を促しているが、近隣の自治体ではどのような動きがあるのか。保護者と子どものニーズに対応する”受け皿”の形は多様だ。
「遊びと生活の場」全校に
横浜市では、小学校内での全児童施策として1993年から「はまっ子ふれあいスクール」を実施している。空き教室や学校施設を使い「遊びの場」を提供。利用無料で、平日は授業終了後から午後6時まで開設している。これの”強化型”として2004年に設けられたのが「放課後キッズクラブ」。5時まで無料、以降7時まで月額5000円でおやつは実費負担。「生活の場」としての機能を打ち出している。同市では、19年度末までに全小学校(341校)で「キッズ」に転換させる方向だという。これに加え、放課後児童クラブ(学童)も約230カ所ある。横須賀と同様に民設民営のため、保育料は平均で1万7千円と保護者の負担は大きい。
川崎市でも横浜の「キッズ」と同様の施策を進めており、民設民営の学童と共存する形だ。
「過ごし方」の優先順位
放課後の”受け皿”は確実に広がっているが、全児童施策における「おやつの提供」が議論になった自治体もある。必要・不必要な児童で切り分けるのか、どこまで行政が関わるべきか―これは一例だが、全ての児童を対象とした場合、個々のニーズに対する線引きの難しさも浮かび上がる。
都市部では、行政からの補助等を受けずに民間学童保育を展開させる事業者も増えている。学習やスポーツなどを強化し、送迎や食事の提供など至れり尽くせり。料金は5万円前後からと、一般の学童よりもさらに高額だが一定数の需要があるという。
保護者側からすると、自身の就労などの状況に、保育内容や費用を比較して選ぶ形となるが、単に安心安全で過ごせればいいのか、学校や家では得られない体験の提供か。放課後の時間を”つなぐ”ものなのか―。
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共働きやひとり親家庭の増加、自由な遊び場の減少など、子どもを取り巻く環境は目まぐるしく変化している。地域的な実情もある。
市内で行われている「子ども食堂」や、池上で5月に開設した「みちおやの家」などは、別の観点から”居場所”の必要性を感じた市民らが立ち上げたもの。子どもたちの「安心」「安全」を守り、成長を支える手段は一つに限らない。
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10日に就任した上地克明市長は、放課後事業に関して「(学童は)民間主導で発展してきた経緯を踏まえ、補助を出しながら全学校に設置することが望ましい」と話す。子育て環境の充実を喫緊課題とする市長が、今後どのような施策を打ち出していくのか―注目したい。
[連載終わり]
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