市内の農家と飲食店が連携した、地元農産物の利活用が進んでいる。今までは捨ててしまっていた訳ありの果物に一工夫加えて提供したり、市内で初めて生産されたシャインマスカットを使ったカクテルを開発したりと、地物の新たな使い道が見られる。
”訳あり果物”冷凍して提供
天候の影響など様々な理由で出荷できなくなってしまった地元産の果物を、市内の飲食店が安値で買い取り、冷凍し酒やジュースに氷の代わりに入れ「ロコふる」という名称で、市内6店舗で提供を行っている。「ロコふる」は、地元を意味する「ロコ」と果物の「フルーツ」を掛け合わせたもの。
きっかけは今年3月。「イチゴ狩り用に栽培したものが余りすぎて困っている」という農家の声を聞いた市内の飲食店が協力して「捨ててしまうのはもったいない。何かに利用できないか」と引き取ったことが始まり。すぐに熟れて使えなくなってしまうイチゴをひとまず冷凍。「このまま氷として使えるのでは」と、酒やいちごミルクに入れて商品化したところ好評だったという。
8月には、豪雨や雹が降った影響でスイカが割れてしまう被害が続出。多くの訳ありスイカが各協力店に寄せられた。季節ごとの旬な果物を楽しめるとあって人気だ。
現在提供されているのは、栽培の過程で間引きされた青みかん。汐入のレストラン「カギロイ」では、焼酎と炭酸に冷凍した青みかんを入れたメニューを提供。「困っている農家を助けようと始めた。輪が広がっていけば」と店主の松田一希さん=写真右下=みかんを栽培している「ひろあき農園」の小林大晃さんは「一生懸命作ったものを捨てずに、使ってもらえるのはありがたい」と話した。他に、汐入の廚(くりや)、OTONARI3、若松町のタイガー、大滝町の横須賀ビール、衣笠のじぇっと天が参加している。
市内初のマスカット栽培
須軽谷の「よね子農園」の廣川勝さんは、市内で初めてシャインマスカットを栽培している。
産地として有名な岡山県で1年間勉強。専用の設備など初期費用が掛かることや、気候が適していないことなどから横須賀での栽培は難しいとされてきたが、粒の間引きや肥料調整を工夫し、栽培に成功した。「今年は過去最高の出来だった」と笑顔で話した。傷があり出荷できないものは「ロコふる」として提供されている。
また、緑ヶ丘にあるバー「Earth Brothers」ではシャインマスカットを使ったカクテルを提供。「酸味と甘みのバランスが絶妙でお酒に使いやすい」と店主の青柳潤さん。(入荷分のみの販売で、現在は扱っていない)
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