横須賀版 掲載号:2017年11月24日号 エリアトップへ

市民劇団 つか作品「出発」に挑む 家族の在り方問う人情劇

文化

掲載号:2017年11月24日号

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 地元で活動する市民劇団「プロジェクト夢樹」の舞台公演が12月2日(土)・3日(日)の両日、深田台の横須賀市立青少年会館で行われる。劇作家で演出家の故・つかこうへい氏作の「出発」を演じる=写真。

 物語は慎ましくも平凡に暮らしていた、とある一家の父親が突然蒸発するところから始まる。父の帰りを待つ残された祖母、母、長男、長男の嫁、次男は、大黒柱の失踪を機に体面を保とうと、正しい家族の在り方について主張を繰り広げる。父が消えた理由は、果たして家族の元に帰ってくるのか—。

 キャスト陣には、FMヨコハマのレポーターとして活躍する穂積ユタカさんも名を連ねている。2日は午後2時・6時30分の2回、3日は午後2時のみ。鑑賞券は一般1500円、学生・66歳以上1000円、高校生以下500円。

 詳細は同劇団の吉本敏克さん【携帯電話】090・4393・6350

演者と演出、傘寿の情熱

 30年前に同劇団を旗揚げした吉本敏克さん(80)が今回の舞台では、演者と演出の両方を務める。「自分でも無茶するなって思うけど、好きなことだから」と来たる本番を心待ちにしている。

 幼い頃はよく動物の真似をしていた。犬や猫など、思い起こせば子どもながらに演じることの楽しさを感じていたのかもしれない。 県立横須賀高校で演劇部に入部。これが人生のターニングポイントだった。卒業後、一度だけプロを志したこともあったが、名門劇団「文学座」の入所試験はあえなく不合格。「条件が容姿端麗、身長は180cm以上。これは無理だなって」と苦笑い。「でも、それが地域演劇に専念しようというエネルギーになったと思う」

 その後は、横須賀市内で新劇団の結成や連盟創設のほか、数々の舞台で出演・演出を務めてきた。

妻への感謝を胸に

 1人では舞台を作ることができない。演者、裏方、観客、支えてくれる人がいて成立する。約60年の演劇活動を振り返ると、口をついて出るのは妻・糸子さんへの感謝の念だ。舞台の裏方として、今作でも衣装などを担当。子どもが独立し、それぞれの親も見送った今、ようやく2人で落ち着いて作品に向き合える幸せを噛みしめる。

集大成の舞台

 これまで幾度となく大病を患い、その度に自分を奮い立たせてくれたのは、やはり演劇への情熱だった。「次は何をやろうか」。ベッドの上で演目を選び、復活の日に思いを馳せてきた。

 いい舞台は身体づくりから。「足腰を鍛えるため、毎日数千から1万歩は歩きます」。寄る年波、心身の衰えと闘いながら3ページもの長台詞に挑むとともに、演出家として後進の指導に熱を込める。

 「これが集大成の舞台になると思う」。人生の幕が降りるその日まで、生涯演劇人。それが今の目標だ。
 

本番を前に稽古に熱が入る吉本さん
本番を前に稽古に熱が入る吉本さん

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