ソプラノ歌手で、10日に開催する「みんなで楽しむコンサート」を企画した 松永 知史(ちふみ)さん 武出身
歌で人生「幸せ」に
○…「ホールでワクワクする雰囲気を共有してほしい」。文化会館で開催するコンサートに”みんなで楽しむ”と名付けたのは、そんな想いがあった。自分が歌を届けたい人は誰か。原点を振り返りながら舞台に立つ。
○…ソプラノ歌手としての活動基盤はドイツ。一時帰国し、縁あって武山養護学校で勤務していた際、「声や音を発して迷惑をかけないか心配で、コンサートホールには行けない」。保護者からの気遣いを耳にしてハッとした。施設や学校を訪問し、歌うことも多かったが、自己満足ではないかと自問することも。「垣根なく来てもらえる場を作ることも私の役割」。3年前に初めて”みんなで”を掲げたステージを企画。今回は会場をスケールアップし、「音・歌・声でどこまで心に届けられるか、音楽家としての挑戦」と、自らを奮い立たせる。
○…「自分の歌を家族がとても喜んでくれて」。小学生で既に「声楽家になる」と公言。自宅介護の祖母に童謡を歌うと、自然と目から涙が溢れていた。心を動かす力を間近に感じた体験だ。学生時代から、表現への熱量はまっすぐ。「この先生に習いたい」と思えばそのもとへ。沖縄からドイツへ渡り、リュック1つで門を叩いた。異国での生活は歌い手として、人として成長する大きなステップとなった。「格好をつけても見透かされてしまう。人間力が問われているのだと実感している」。柔らかな口調の中で、実直な性格が滲む。
○…国内での公演に武山地域の支援者が駆け付け、熱心に応援する姿は、舞台関係者から「動くパワースポット」と言われるほど。ドイツでは、国立合唱団の子どもたちの指導も。「いつかは日本で手掛けてみたい」。郷里への想い、幾多の経験を歌で還元することが、地元への最大の恩返しだ。
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