全国的に広がる待機児童問題。横須賀市では、今年4月時点で37人。市はこの対策として、今年度予算で約70億円を計上し施設整備や定員増加など進めるが、保育施設では肝心の保育士の確保に苦戦しているという。現場の声やその原因、他市の取り組みを2回に分けてまとめていく。
「年々、新卒者の獲得が苦しくなってきた」。市内の保育所管理者はそう漏らす。保育士資格の養成学校に通う市内在住者でも地元に就職しないケースも多く、給与や補助金など待遇面の良い横浜市や都内の保育所へ「人材」の流出がみられるという。市内公立保育所でも、非常勤保育士の欠員があり現在も募集している。不足分は臨時職員(アルバイト)で補っている。
保育施設の運営には子どもの年齢に対して人員の配置人数が決められており、市外では保育士が足りず休園に追い込まれた施設もある。待機児童解消は、保育の受け皿拡充に目が行きがちだが働き手の確保の2つの柱が伴わないと実現は難しい。
眠る保育人材
県によれば、2017年3月時点での神奈川県の保育士登録者数は約9万3千人。そのうち勤務している人が4月時点で約2万9千人。資格を持っていても働いていない「潜在保育士」の数は単純計算で約6万2千人にも上る。働き手の9割以上が女性ということもあり、出産や結婚などで離職する人も多いという。加えて「以前に比べ、人間関係などを理由に辞める人が増えた。募集する園が多い分、転職しやすいのも確か」と市内で複数の保育所を運営する事業者は話す。また、資格を持っていても、賃金や責任の重さから違う職種に就く人も少なくないという。
市独自にセミナー
こうした現状から市は今年度予算で「教育・保育人材の確保・養成」として約530万円を計上。県や横浜、川崎、相模原市との共同事業として無料職業紹介所を運営しているほか、市独自の取り組みとしては、7月と10月に就職セミナーを開催。学生を対象とした7月の相談会の参加者は、15年には23人だったが、昨年は75人に増え一定の成果が見え始めている。
ただ、潜在保育士については、市で全体数を把握していないのが現状。新卒者の獲得に試行錯誤するなか、今後は潜在保育士の掘り起こしがカギとなりそうだ。
※次回は、人材確保に向けた他市の取り組みや保育所の工夫をまとめる。
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