鶴が丘1丁目に昨年11月、介護相談や交流スペースを設けたコンビニエンスストア「ケアローソン」がオープンした。店舗の開設を契機に人を繋いで支え合う仕組みを作ろうと地元医師らが中心となり「鶴が丘『人社(じんじゃ)』プロジェクト」を発足した。キックオフの会合では近隣住民や地域の福祉関係者などが参加し、暮らしの現状と「地域資源」について意見を交わした。
県の開発によって1964年に生まれた鶴が丘。かつては日産などの社宅や商店が立ち並んでいたがこれらが撤退し、街も様変わりしている。県営団地を中心にひとり暮らしの高齢者も多いという。そんな中で昨年11月、地域の中心部にオープンしたのが「ローソン横須賀鶴が丘店」。土地所有者である県住宅供給公社が「周辺住民の生活サポート拠点となる小売店舗」として事業者を選定。県内初の介護拠点併設型店舗で、コンビニ商品に加えてOTC医薬品や介護用品などを取り扱うほか、株式会社スマイルが介護相談窓口を担当し、サロン・地域情報スペースも設けている。
場所や活動を「見える化」
「人が集う拠点として、コンビニも地域連携の場に」と活用を模索するのは、三輪医院院長で市在宅療養連絡会議座長を務める千場(ちば)純さん。同院では鶴が丘のバス通り沿いに交流・相談拠点「しろいにじの家」を開設。講座や学習会などを展開する中で、地域での支え合いや繋がりの必要性を感じていた。「少子高齢化により街が縮小していく中で、今ある拠点と人材を繋げて『地域資源』として活用できないか」と周囲に呼び掛け、同店オープンを機に「鶴が丘『人(じん)社(じゃ)』プロジェクト」を立ち上げた。”人が集う場所”という意味で、千場さんは「まずは医療や介護、福祉、学校や地域団体などの細かな活動情報を地図上に集約していきたい」と話す。これにケアローソン・しろいにじの家などのサロン機能のある拠点を掛け合わせることで、多業種の連携が生まれることを期待する。プロジェクトには県立保健福祉大学の西村淳教授も参加しており、鶴が丘地区での「暮らし」についてのアンケート調査も進めている。
「人材は街の資源」
昨年12月に同店で行われたキックオフには、近隣住民や民生委員、町内会、医療・学校関係者などが集まった。街の現状に対して「集まれる場所がない」「世代が変わり、絆が切れている」「かつては商店街が賑やかでコミュニティがあった」「地域の行事が減っている」といった長年暮らす住民の声があれば、「商店を中心にした小さな生活圏がイメージできない」「公園が少なく子育てしにくい」といった若い世代の率直な意見もあった。
今後は、これらの声を共通課題としてまとめて定期的に会合を行っていく考え。千場さんは「人材は貴重な町の資源。どこに居るのか、どこで繋がれるのか、相互支援の仕組みが充実した地域になれば」と期待を語った。
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