湘南鷹取在住の杉本輿七(よしち)さん(91)が昨年8月、富士山登頂に成功。昨年の開山期間中に登頂した70歳以上、約2千人の中で最高齢であったことが、富士山本宮浅間大社から先月公表された。「数えれば21回目の登頂。年齢や体力的にもこの場所へ行けるのは今回が最後になるのでは」と話した。
富山県出身の杉本さんは幼いころから山登りが好きで、社会人になってからも休暇を利用し、国内の山々を中心にひとりで足を運んできた。今回は道中での体調を気遣う妻の助言から息子と2人での挑戦となった。
好天に恵まれた8月25日の午前中、五合目の地点から登山を開始した。「これまで20回登頂に成功してきたが、今回はさすがに自分の老いを感じ、厳しかった」と振り返る。途中で何度も足を止めて腰を降ろし、休憩をはさみながら一歩一歩山肌を踏みしめ、およそ3時間かけて山頂へ到達した。「富士山に限らずどんな山でも一度として同じ顔を見せない。来るたびに違った楽しさが味わえる」と語る。山頂付近の宿で一晩を明かして翌日の日の出を待ち、頂上の浅間大社奥宮を参拝して山頂を後にし、無事帰還した。
健脚の秘訣は鷹取の坂
長年元気で山登りを続けてこられた秘訣を尋ねると「とにかくよく歩いていることが自然と健康に繋がっているのでは」と推測する。およそ30年前に構えた、高台に位置する湘南鷹取の自宅から出掛ける際は金沢区の六浦駅へ歩いて下っていた。今でも周辺のスーパーや追浜駅前などへ買い出しに行く際にはバスや車などを一切使わず毎回徒歩。荷物を持った帰りの登り坂も楽しんでいる。さらに2年前までは逗子の神武寺まで3時間ほどかかる散歩を昼食後に趣味の日課として続けていた。現在の健脚はこうした無意識の日常の中で培われ、登山を続けられたようだ。
無理せず自分を知る
90歳を過ぎたころを機に、長年付き添う妻から見ても足取りに違和感が現れ、自身も体力の衰えを感じるようになったという。今回の登山でも身体の老化を改めて思い知らされ、悔しさをにじませながらも「無理をせず、自分の限界を知ることも登山では大切。(浅間大社から最高齢登頂者として)名簿に名前が載り、良い区切りにもなりそうだ」。病を患う妻を心配させまいと”引退”もほのめかす。だが一方で「もう少し登りやすい山なら機会があれば今年も出掛けられるかな」と笑顔で含みを持たせた。
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