横須賀版 掲載号:2019年3月8日号 エリアトップへ

田浦泉町の「アーティスト村」に移住し、土器作家として活動する 薬王寺 太一さん 田浦泉町在住 43歳

掲載号:2019年3月8日号

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終わりなき「豊かさ」の探究

 ○…田浦泉町の谷戸地区にある旧市営住宅を活用した地域コミュニティの再生に、横須賀市が昨年から取り組みを始めた「アーティスト村構想」。初の”村人”として入居し、土器作品の制作に打ち込む。「若いころに修行した山梨県の山を思い出すほど自然が豊か。地域の人との距離も近く、これ以上の環境はない」。長年探し求めていた理想の創作拠点に巡り合えた喜びから顔をほころばせる。

 ○…「表現をすることがもともと好きだった」という幼少期。その始まりは意外にもヴァイオリンや学生時代に経験したホルンの演奏など、音楽が中心だった。進学先の大学では社会学を専攻し、「豊かさとは何か」という自問を繰り返すようになる。途方もない問いに悩む中で辿り着いた一つの糸口が陶芸。「土や火、木、水など、自然の恵みを享受して一つの作品を作り上げる陶芸と向き合いたくなった」

 ○…大学在学中から創作活動を始め、卒業後も修行で山梨やイタリアなど国内外を転々。フランスの美術館で巡り逢った土器作品に更なる衝撃を受けた。「一見地味な生活の品だが、土色の中に炎の流れが映し出され、素朴ながらも作り手のメッセージを伝える力強いパワーを感じた」。以来、土器と向き合い続けてきた。

 ○…現在は地域住民や母校の関東学院大学の学生らと協力してコミュニティの場の整備にも注力。引っ越して3カ月ほどだが今では散歩で立ち寄った近所の住民からフキノトウのお裾分けをもらうほど地域に溶け込んだ。今後は”村”で陶芸教室を通じた地域交流を発展させたいという。秋谷の土にも可能性を感じており、「横須賀の人が造るご当地作品を発信できたら面白いのでは。この村で真に豊かな生き方を体現していきたい」と夢を膨らませた。

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