エアロバイクやウォーキングマシーンといったトレーニング機器が並ぶジムの中、ひときわ熱心に身体を鍛える男性がいる。井東賢二さん(米が浜通在住・91)。その元気な表情や話ぶりから卒寿を迎えたと知ると「20歳は若く見える」と周囲から驚きの声が上がることも。現在は週に3日ほど、およそ2時間の中で全身を使ってイキイキと汗を流しながら元気な身体を保ち続けている。
流した汗が明日をつくる
きっかけは昨年春、近所にシニア向けの健康ジムがオープンしたことから。身体を鍛えることが好きで、70代までジム通いをしていた。「歳も歳なので、少しでも周りに迷惑をかけないように健康な身体を維持したかった」。その甲斐もあってか背筋はまっすぐ伸び、足取りも力強い。「ジムに再び通うようになってからか、病気とは無縁。倦怠感や疲れを感じなくなった気がする」と話す。
樺太で生まれ、旭川で少年時代を過ごす。14歳で高等小学校を卒業した後は川崎にある企業へ就職し、会社付属の学校で機械について学んだ。その後自ら志願して大日本帝国海軍の飛行予科練習生に入ろうと受験。整備課での採用が決まり、技術者としてゼロ戦の整備にも携わった。
終戦後は逓信省に3年ほど勤め、陸上自衛隊の前身である警察予備隊に入隊。50年ほど前に横須賀へ居を移し、50歳で退官するまで現役を貫いた。この頃から身体を鍛えることへ傾倒し始め、当時としては珍しくジム通いをしていたほか、仲間内でのバレーボールや野球、ソフトボールに汗を流した。
健康の秘訣は楽しむこと
30年ほど前から自衛官のOB組織で会長を務め、年に1度の同窓会を開いている。時の経過と共に仲間たちが老いていく姿を見て「自分はもっと元気でいたい」と発破をかけ、さらに鍛錬に熱を入れてきた。
トレーニングはジムの中だけでなく、何気ない私生活の中でも。共に暮らす息子に頼りきらず「自分のことは自分で」と掃除や洗濯、料理を自らこなす。「特に洗濯は良い運動代わりになる」とほほ笑む。「買い物ついでに」とわざわざ中央地区から上町、衣笠、平成町など、片道2時間をかける“大きな散歩”にも気ままに出かける。「楽しもうと思えば何でも無理なく挑戦できる」。健康の秘訣はそうした健全な心にも深く関わっている。
夢、目標が原動力
90歳を過ぎた今でも目標や夢を持ち続ける。まずは2度目となる東京五輪を元気で観戦すること。「最近の日本人の活躍ぶりには感心させられるばかり。鍛え方次第で世界を相手に互角以上に渡り合えているなんて、自分も負けてられないね」と力が入る。“心と身体の元気は繋がっている”。言葉にせずとも笑顔がそう物語っている。
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