夜の無人島・猿島を丸ごと舞台にした大型アートイベント「Sense Island─感覚の島─暗闇の美術島」が11月3日(日)から始まる。横須賀市の主催で、アート作品を暗闇と静寂の中で体感してもらう初の試み。横須賀の魅力を広く発信する事業として12月1日(日)まで実施される。
猿島公園には年間20万人(2018年度実績)が訪れているが、夜間利用など観光スポットとしての新たな可能性を問う。今夏に行われたディスコパーティーや人気アニメ「ワンピース」とのコラボイベントと同様、観光誘客に力点を置いた取り組みで、「無人島」という言葉の持つ響きや日常空間では味わえない暗闇の魅力をアートという形にしてPRする。
全体をプロデュースするのは、「ミラノ国際博覧会日本館シアター」「六本木アートナイト2015」など数々のミュージアム企画を手掛けてきた(株)ライゾマティクス代表の齋藤精一氏。国内外のアーティストによる展示とパフォーマンスで構成される。猿島が持つ土地の記録や自然との融合を図った作品を発表。かつて猿島にあった春日神社をモチーフにした構造物や地元の漁師が使っていた漁具を用いたご当地コラボアートもある。
「市民割」も用意
観覧できるのは木・金・土・日・祝日の午後5時30分から9時30分の時間帯。チケットは往復乗船料含む大人3500円、中学生以下2350円。横須賀市民は大人1850円、中学生以下700円の割引価格となる。インターネットでの事前購入制。
詳細はHP「Sense Island」で検索。
感覚呼び覚ます異空間の旅
今回のアートイベントのプロデューサーである齋藤精一氏(写真左)、キュレーターを務めるNPO法人インビジブル理事長の林暁甫氏(中央)、横須賀都市魅力創造発進実行委員会事務局長の奥村浩氏が企画の狙いや見どころを語ったFMヨコハマ特別番組(10月27日放送分)の収録内容を一部抜粋。
◇ ◇ ◇
奥村 横須賀の魅力を伝える仕事を担当しています。猿島の非日常的な空間をどう発信するかを考える中で、アートという切り口が思い浮かびました。そこで2人に相談しました。
齋藤 猿島を舞台に、しかも夜の時間帯でとの話をいただきました。今年は、アートや表現に関して様々な議論が巻き起こりました。アートは問題提起の根源です。アートの本当の姿が見えてきたところです。
林 作品によって政治的意見を含むものもあれば、美しさを追求するものもある。そうした中で今回は暗闇と静寂の中で美術展を開く、という試み。「見る」という行為をあらためて考えるチャレンジだと捉えています。
齋藤 アートイベントが全国で開かれ、ライトアップやイルミネーションが流行しています。ただ、限られた電源しかない猿島でそれをやるのはおかしい。最近では、スマホなどでメディア疲れを感じている人も少なくありません。暗さと静けさを活かした展示を通じて、忘れていた感覚を呼び覚ます。「感覚の美術島」のコンセプトが固まりました。
林 展示の一例では、人の気配を3Dプリンティングで可視化させるアーティストが猿島の伝説を題材にした作品を発表します。映画監督が猿島のプロジェクト全体を捉えたアートムービーを通じて世界に発信する試みなども。会場内ではスマホの使用を制限させていただきます。島を離れた後に、自分の言葉で反芻しながら外に向けて発信してもらう。今回のプロジェクトの大切な側面であると考えています。
奥村 月の満ち欠けや潮の満ち引きで島の表情は異なります。感覚を研ぎ澄ませることでその変化を楽しめます。
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