タウンニュース横須賀編集室では2020年の年頭にあたり、恒例の市長インタビューを行った。この中で上地克明市長は、「エンタメ都市」の実現に込めた真意を語るとともに、成長産業のひとつと位置付けている「スマートモビリティ」の取り組みを加速化させる考えを示した。(聞き手は本紙編集長、安池裕之)
──まずは2019年を振り返っていただきます。「ヨコスカ再生」に向けて、上地市長が掲げた「音楽・エンタメ・スポーツのまち」の施策は、市民の想像をはるかに超えるスケールで展開されています。ワンピースとのコラボや夜の猿島を活用したアートイベントなど、話題性のあるコンテンツを矢継ぎ早に打ち出しています。
「人口減少で細りつつある経済のパイを増やすために、主に観光を切り口に戦略的な投資を行っています。市外の人の関心を誘うにはインパクトが必要です。財政難の中でこうしたイベントをあえて仕掛けるのは、経済成長の果実を福祉等、市民の安定した生活基盤を確立するためのものであることは言うまでもありません。今年も新しい挑戦をしていきます」
「地域存続」の危機感を持つ
──猿島でドローンを活用した商品配達の実証実験もありました。
「ヒトとモノの移動を先端技術で高度化・効率化する『スマートモビリティ』の取り組みを産官学の連携で進めています。情報通信分野の企業や研究機関が集積するYRPを拠点に新産業の創出を後押します。現在、逸見地区で行われている「AI運行バス」の実証実験は、交通不便地域などでの導入が期待されている近未来の乗り合い型バスです。いずれの開発も「社会課題の解決」に資するもので、横須賀市にもたらされる恩恵は小さくありません。企業との新たな交流が生まれ、投資や雇用といった経済効果も期待できます。
──昨年は大型台風の襲来など自然災害に翻弄されました。
「行政の災害対応や交通インフラの脆弱さなど、課題と教訓を残しました。長時間停電に対する対策や情報発信のあり方も考えなければなりません。その一方で『災害が起こるかもしれない』という市民の心構えも促したいと思います」
──自然災害が激化している理由として、気候変動が大きく関係しているとの指摘があります。CO2削減が求められている中で、世界的に批判の高まる石炭火力発電所の建設が久里浜で進んでいます。
「温室効果ガスの削減は市としても取り組まなければなりません。ただ、久里浜の石炭火力発電所は国が認めたもので、存否については市の権限が及ばない事案です。現状、事業者との協議で、できる限りCO2排出をおさえるとともに発電所の敷地内に公共利用できるスペースが設けられることを確認しています。経済効果と雇用創出も期待でき、市民生活の向上に大きく寄与するものと考えています」
──市内の動きとして、汐入の大型商業施設のリニューアルオープンがあります。
「商業の一大拠点として期待しています。センタースペースにステージも設けられると聞いています。音楽イベントなど『ヨコスカ街なかミュージック』との連携を考えたいと思います」
──横浜市でカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致をめぐる議論が白熱している中、横須賀市観光協会が賛成の意思を示しています。IRに関して、上地市長の意見を聞かせてください。
「横浜市民が決めることであり、あえて見解は述べません。横浜市は、人や投資の”東京一極集中”の問題を抱えており、これらを克服するための手段として、IR構想を打ち出したのでしょうから、地域存続の危機感からすれば当然理解はできます。横須賀市も同様の状況があり、何を旗印に自治体として難局を乗り越えるか。真剣に考えなければならないテーマです」
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