「学校外にある学童(放課後児童クラブ)も校庭を使わせて」―。という要望に対する横須賀市の回答が、物議を醸している。
市議会は昨年5月、時宜を捉えた課題を協議するため、「対策検討協議会」を設置。コロナ禍で影響を受けた事業者や団体からの要望等について、各会派の市議が意見を聴取し、質疑応答を通じて市に課題・問題点の確認を行い、改善・対応を求めている。
「考え方と判断に差異」
問題となったのは、2月9日の協議会質疑。市への質問は「緊急事態宣言以降、学校開放事業は停止されているが、小学校内にある学童クラブは校庭を使用できている。学校外の学童は利用が不可となっているのはなぜか」―というもの。これに対し、教育委員会は「学校開放は一律中止で、外部との接触を避けるための判断。学校では授業後、ステイホームを促しており、再度登校して遊ぶことはできない」と回答。学童を所管するこども育成部も「学校外の学童では公園などを使って工夫している。感染防止のためしばらく辛抱してほしい」と答えた。
協議会委員が「学童が密を防ぐのが大変だという状況も昨年来、市と共有してきたはず。学校開放の中止は理解できるが、感染防止の観点で使用したいという本意が伝わっていない」「不特定多数の人が使う公園を利用していることが『工夫しているので大丈夫』とはならない」と質すも、「我慢してほしい」と噛み合わないまま。「どうしても開放したくないと聞き取れる」「検討の努力が足りない」と憤る意見もあった。学校内にある学童が校庭を利用できている状況については「学校長の管理監督の範囲の上使っている」との回答。「考え方と判断に差異がある。論理が破綻している」と各委員ともあきれた表情を見せた。
方針転換も残る課題
9日の会議後、市は対応を一転、12日から利用可と方針転換した。結果的には、ここでの議論が市を動かした形だ。確かに、学童を利用する児童は小学生全体の10数%。そのうち「校庭を使いたい」という要望は市全体にとっては小さいものかもしれない。しかし、課題を抱える現場に対して、納得のできる回答だったのだろうか。担当部署は「連携を取っている」と言うも、縦割りの感は否めない。ある委員は「これは民意とのズレ」と表現した。問題の本質を汲み取り、「その先」を想像する行政対応が求められている。
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