横須賀市議会は12月14日、12月定例議会で「犯罪被害者等基本条例」を可決した。議員提案による条例制定の取り組みで、犯罪被害者等の権利を守るための支援体制を規定する内容。来年4月に施行される。同様の条例は、神奈川県が独自に制定しているほか、県内の自治体では4例目となる。
市議会では、市政における課題解決に対して、議会全体で政策立案を進める「政策検討会議」を2017年に設置。議員提案条例としてこれまで「がん克服条例」(18年)、「歯及び口腔の健康づくり推進条例」(20年)を施行している。
今回の条例制定は、犯罪に遭った人の身体や心だけでなく経済的な影響が大きいことや、報道やSNSによる誹謗や中傷などの二次被害が増えている現状も背景にある。こうした状況から、相談窓口の設置や支援体制の強化、関係機関の連携が求められていた。
いじめやDVも
市議会では、昨年5月に検討協議会を立ち上げ、神奈川県や県警、支援団体、学識者、犯罪被害に遭った当事者や遺族などの意見聴取のほか、10月には市民等を対象にパブリック・コメントも行った。
条文では「犯罪」の定義について、刑法に定められた内容以外に、性暴力やいじめ、DV、ハラスメントなど幅広い意味で当事者が被害を受けた「他害行為」としている。市は市民部に総合支援の窓口を設置し、対人援助の有資格者職員などを配置。担当部署や団体への支援を繋いでいく。さらに見舞金の支給、損害賠償請求へのサポートなども盛り込んだほか、相談体制の中で支援に携わる人材への研修体制の整備も行っていく。
同月14日には、市議会の大野忠之議長と検討協議会委員長の青木哲正氏、副委員長の長谷川昇氏が会見=写真。「(条例は)人としての基本的な権利を守るためのもの。市として、すべての犯罪被害者に寄り添う体制を作っていきたい」と青木委員長は話した。
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