海洋環境問題の取り組みや海洋開発技術分野の人材育成などで包括連携協定を結ぶ横須賀市と国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)は1月14日、海の環境問題をテーマにした市民講演会を開いた。
JAMSTEC研究員で横須賀総合高校出身の日高弥子さんが、市との協力体制で取り組んでいる海洋プラスチックごみ削減に向けた研究について報告した。
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地球規模で問題となっている海洋プラごみ。「1年あたり中国で6千万トン、アメリカで3千8百万トン、日本では8百万トンのプラごみが発生している一方で、リサイクルされているのは約20%しかない」と日高氏。大半は不法投棄や埋め立て処分されている実情を説明した。加えて、2050年にはプラごみの量が世界中の魚の量を上回る調査報告があることや海に漂うプラごみの95%は行方不明で広い海のどこかで回収されずに汚染状態になっていることも伝えた。
追加的なプラごみ汚染を防ぐには、生産量と消費量の削減とともに、「海洋ごみの実態を把握することで発生元を断つことや原因を突き止めることが大切」と日高氏。独自の試みとして、スマートフォンのカメラで海岸のごみの散乱状況を写し、AIで種類など解析していく研究を進めていることを紹介。データ収集を行うことで「ポイ捨てされやすいごみの傾向や時間や場所の特徴、住民意識の高低などが把握できる」とした。
膨大なデータを必要とするため、こうした社会課題の解消には科学者ではない人が取り組みに積極的に関与する「市民科学」の必要性にも言及。現在、市と連携したビーチクリーンイベントや小中高生が参加する「横須賀海洋クラブ」の活動にも組み入れるなどして、市民参加でデータ収集を進めていることを報告した。
今後は、三浦半島の沿岸21カ所に定点カメラを設置して、流出ごみの観測を行っていく。先のスマホ画像の情報と組み合わせて分析を進め、流出の科学的根拠を明確化し、これを防ぐための手立てを講じていくという。講演の最後に日高氏は、「横須賀からプラスチックと賢く付き合う『プラスチックスマートなまち』の実現をめざしたい」と締めくくった。
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