高齢者ドライバーによる事故多発を受けて「免許返納」を促す動きが広まりつつある。横須賀市内で70歳以上の運転免許返納数は平成25年度に179件だったものが、26年度249件、27年度は523件に増加。今年に入ってから5月末の時点ですでに概算で668件(田浦署管内66件、横須賀署管内304件、浦賀署管内298件)の数字となっている。高齢者ドライバーへの注意喚起や返納者に向けた優待制度が周知されてきたことなどが背景にあるとみられる。
先月末に茅ケ崎市内で90歳の女性が運転する乗用車が横断歩道を走行中の自転車と歩行者をはねる事故があり、横須賀警察署では、「車を運転しない生活を考えませんか?」と題したパンフレットで窓口を訪れ人などに免許返納を呼びかけている。「車のキーが見当たらない」「ウィンカーを間違って出す」「うまく駐車できなくなった」「塀や壁に車をこすった」「道順を思い出せない」等々を要注意の症状としている。
高齢者運転免許の自主返納サポート制度も案内しており、返納者には身分証明書的な役割を果たす「運転経歴証明書」を発行。同協議会のホームページ(【URL】https://www.police.pref.kanagawa.jp/mes/mesf0225.htm)上で紹介している加盟・協力店で提示すると割引等のサービスが受けられる。
専門家は「偏見助長に注意」
高齢者の交通事故対策として、75歳以上のドライバーを対象に、認知機能検査を強化した改正道路交通法が昨年3月から施行されている。法制度とともに高齢者ドライバーに向けられる周囲の目はますます厳しくなっているが、地域の交通事情や仕事上の利用など、車の運転が必要に迫られている人も少なくない。本人の尊厳に関わる部分でもあり、デリケートな問題をはらむ。
「認知症と運転免許証」をテーマにした講演などを行っている汐入メンタルクリニックの阿瀬川孝治院長は、「運動能力と判断能力は加齢とともに低下していくが個人差がある。『高齢者の運転=危険』という単純化した図式は、偏見を助長する恐れがある。返納のタイミングは総合的な判断が必要」と話している。
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