童話や唱歌などを大人数で歌う「NPO法人 さくらの会」の会長を務める 原 洋子さん 鴨居在住 77歳
「下手でいい」から楽しい
○…会員3千人を誇る市内最大の歌の会をまとめる。ジャンルは童謡や唱歌、世界民謡などさまざま。毎回、プロの音楽家を講師に招き大合唱する。今年で発足17年目。月に1度の活動は来月でちょうど200回を数える。「立ち上げた時はまさかこんなに大きくなるとは思わなかった」と笑って振り返る。
○…昔から歌うことが好き。17歳の時、勤めていた工場の労組青年婦人部の歌サークルに没頭。歌やダンスなど、舞台上でも披露していた。職場を離れて以降は歌う機会は減ったが、生活にいつも音楽があった。「朝、目覚まし時計の代わりにカルメンを流すのが日課だったわ」。子育てに区切りがつくと仲間で集まり歌のサークルを結成。最初は衣笠公民館を会場に14人ほどだった会員はみるみる増えていった。
○…なぜ人が集まるのか。その秘訣はスローガンにある。「下手でいい!下手がいい!」―。誰でも気軽に来られるようにと決めた合言葉。「歌に自信がなくても、大勢いるから気にせず楽しめる。ふらっと参加できるのが一番」。約1千人の合唱は、まるで巨大な”歌声喫茶”。心地よい連帯感が評判を呼び、会員のほとんどが口コミで集まった人ばかりだ。
○…「渦潮のような人」と仲間の一人が表現する。決して引っ張っていくタイプではないが、周囲が彼女のために何か力になりたい、支えたいと、自然に人を巻き込んでいく。「会長らしいことは何もしてない。天気が晴れるように祈ることくらい」と冗談も。気さくな性格で場を和ませるのも役割の一つだ。「会員が多くて全員の顔は覚えられない」。それでも、せめてあいさつだけは、と会場の入り口に立ち参加者と言葉を交わす。そんな律儀な姿勢に周囲は惹き付けられていく。
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