全国的に連日被害が絶えない「振り込め詐欺」。横須賀市内での詐欺認知件数は今年1月から9月まで66件、被害額は1億2千万円を超えた。昨年の115件、2億9千万円超には及ばず、前年同期比の認知件数では約20%減っているが、年末にかけて被害が増える傾向にあり、依然収束の目途が立っていない。「オレオレ詐欺」と呼ばれる、身内を装った手口が過去5年間、最も多く占め続けている。そのほか「架空請求詐欺」や「還付金詐欺」などがあり、いずれも警察官や銀行協会、大型家電量販店などを偽り、銀行口座や暗証番号、クレジットカード番号などを聞き出す等、手段を変えながら最終的には金銭を要求する。また首都圏ではこれまでの振り込み型から手渡し型へと手口の動向が変化しているという。これは犯人が被害者宅へ赴いたり、被害者を駅へ呼び出したり、現金を引き出す係の犯人が引き出し限度額の都合でATMを何カ所も足を運ぶのに、交通網の発達した首都圏が適しているため、と県警は分析する。
また近年市内で「法務省管轄支局訴訟最終告知通達センター」を名乗るハガキで偽りの請求をする手口が増え始めたという。「消費料金に関する訴訟最終通知のお知らせ」等と題し、訴訟取り下げ最終期日と問い合わせ窓口と称する偽の電話番号が記されている。さらに最近ではハガキから封書に換え、より公文書に似せた手口が広がっており、手元に届いた際にはまずは警察へ相談することを勧めている。
電子マネー詐欺にも策
最近は電子マネー詐欺も発生し始めた。口座振り込みや現金の手渡しの手口とは異なり、コード番号を犯人に伝える手口で、より手早く簡単に被害に遭ってしまうほか、被害に気付きにくいのが特徴。横須賀署では、その対策強化にも乗り出した。同署管内のセブンイレブンとファミリーマート65店舗のマネーカード販売棚など、購入者の目に入りやすい場所に手の形に模った特製POPを設置。注意喚起を強めている。
田浦署では日中の在宅者が被害に遭いやすいことから、9月から戸別訪問を開始し、およそ1カ月で2千件を訪問。その内詐欺と疑わしい「前兆電話」を受けたことがある人は16%を占めたことがわかった。また「孫の手作戦」と題し、小中学生に啓発ビラを配布。孫からチラシを受け取る当事者だけでなく、家族間での予防意識を高める効果を狙う。
浦賀署でも交番勤務の警察官を中心として戸別訪問を進めているほか、詐欺被害の現場となりやすいコンビニで店員への協力依頼に力を入れる。その一環としてATMで操作に手間取っていたり、慌てた様子の客に対し、店員が詐欺の確認をする際に、客への説明ツールとして使えるチラシをレジ内などに設置してもらうなどしている。
通話録音と家族の絆が要
神奈川県警では詐欺の大半を占める、固定電話へ掛かってくる犯人からの通話への被害防止策として、迷惑電話防止機能付きの機種活用を呼び掛けている。また被害者の8割以上が75歳を超える女性であることから、子どもや孫と日ごろから会話や連絡を定期的に行う必要性も訴えている。
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