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横須賀版 公開:2019年3月15日 エリアトップへ

好奇心に突き動かされて いきいきシニアの元気の源は

文化

公開:2019年3月15日

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 カメラを片手に横須賀や三浦、鎌倉の庚申塔を巡り歩いて15年。浦賀丘在住の柳田勇さん(75)は今まさに人生を謳歌している一人だ。健康維持を主な目的に60歳で迎えた定年退職翌日から活動を始め、8年ほどで市内202カ所、981基の塔を訪ねた。自費で冊子や本を作成し、今年は写真展も計画するなど、目標を次々と掲げて第2の人生を楽しんでいる。
  
 庚申塔は道教思想から60日に一度徹夜をして厄払いをする「庚申講」を3年18回続けた記念に屋外で建立されることが多かったとされる石造物。「道端にあった石仏に幼い頃からなぜか興味があった」と振り返る。高校卒業後は地元の信用金庫に就職。企業や商店などの顧客先を回り歩き、店頭では接客や部下の管理を行うなど仕事へ情熱を注いできた。

 定年を数年後に控えた頃から退職後の過ごし方を考え始めるようになる。会社員生活に区切りをつけ、好きなことに時間を使おうと決め、写真が好きだったことから、カメラを片手に散歩でも─と思い描いた。定年前から妻と始めた史跡巡りの道中で再び気になったのが庚申塔だった。

 何事にも熱中する気質で、庚申塔について図書館で調べ始めると、かつては庶民の信仰の対象だった史実や造形の種類の多さに魅かれていった。一方で当時の資料を基に訪ね歩き始めたところ、現存しないものや移動して所在が不明な塔が多くあることに驚いた。「せっかく巡るなら私が資料をまとめ直し、後世に残しておきたい」と発起し、自ら”戸籍簿”の制作に着手。昔の資料を頼りに塔を一カ所ずつ巡り、それぞれに刻まれた文言や彫刻を年代別に取りまとめた。また「文字だけではつまらない」と、歴史的背景など周辺の農家に直接取材して集めた情報に写真を添えて紹介する資料集も制作。さらには自らが印象的と感じた塔を厳選し、風化具合や造られた当時の人々に思いを馳せ、感じ取った感覚を短い言葉で綴った写真付きの詩集まで完成させた。

 約1千基もの庚申塔を巡って調べるのは大仕事。夢中になりすぎて体調を崩し、寝込んだこともあったという。だが「気づけば8年経っていたという感覚。どこにあるかわからない塔を見つけた瞬間の達成感は二度と味わえない喜び。こんなに楽しいことはない」と微笑む。

 本の制作だけでは飽き足らず、「今年中に写真展を開き、詩集を新たに作りたい」と早くも次なる目標も。62歳から習い始めたピアノやこれから始めるスチールギターに加え、娘と孫の3人でのライブなど、やりたいことは両手では数えきれないほどあるそうだ。「歳を重ねても出来ることはたくさんある」。元気の源は飽くなき好奇心。まだまだ歩みは止めない。

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