「趣味の農業」で講師を務める 渡邊 隼雄さん 南下浦町在住 81歳
充実した第2の人生
○…高齢者に農業を通じて生きがいをみつけてもらう講座「趣味の農業」。1期2年で、講義のほか実際に作物を育てる実習も行われる。1998年に始まったこの講座は、今年で15期生を迎える。1期生として98年に入った。現在クラブの中では最高齢の81歳。今は、指導者として活躍している。「第2の人生をどう過ごすか。ひとつの方向性として農業という道を歩む人は多い。未経験者に少しでも分かりやすく教えることを心がけている」。
○…この講座は、農業高校の元教諭が指導者として講師を務めたのが最初。自然界の仕組みや環境の変化、野菜の一生などオリジナルの教材を使った講義が評判を呼んだ。氏もその講師から習い、作物を育てることの楽しさや厳しさを学んだ。「野菜は手を抜けばそれなりに形となって表れる。愛情を注ぎ丹念に育てればきちんと報われる」―。身をもって経験しているからこそ実感がこもる。
○…出身は北海道。金融関係の職につき、日本全国の支店を回った。結婚、子育てを経て55歳の時、環境の良さに惹かれて三浦へ。「海や山、自然が豊富」と感想。定年退職後の人生をどう歩むか。生き方を考えていた時、この講座を知った。「全くの未経験だったが、興味はあった。自分にできるか不安もあったが、それよりもチャレンジ精神のほうが上回っていた」と振り返る。この講座には、仲間作りという側面もある。野菜を育てる楽しさと、成長するまでの苦労を語れる仲間を持つことで、生きがいにつなげようというのだ。「新たな人脈が広がった」と話す。
○…現在、仲間と共同で畑を借り、大根やキャベツ、白菜、ほうれん草ほか季節の野菜作りに励んでいる。「畑の仕事中心でスケジュール管理している。自宅のカレンダーには畑関係の予定がぎっしり書き込まれているよ」と微笑む顔は、苦労ではなく楽しさが表れた表情に見えた。
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