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郷土愛に満ちた大漁旗 三冨由貴さん

掲載号:2014年5月9日号

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筆を巧みに使い、色付けをしていく由貴さん。手作業がゆえに、同じ色合いの作品は生まれない
筆を巧みに使い、色付けをしていく由貴さん。手作業がゆえに、同じ色合いの作品は生まれない

 漁に出た船が大漁の証として掲げる大漁旗。魚の絵とともに船の名前が大きく入り、色鮮やかな仕上がりに目を引く。「大きいもので、8畳分くらいの大きさの旗もある」と話すのは、三富染物店(三崎)7代目の三冨由貴さん(34歳)。「縁起を担ぐ大事なもの。心を込めて作製している」と言葉に力を込める。父(6代目)とともに、伝統の染物店を受け継ぐ。

 大漁旗は、大胆な構図で原色が多く使われ、白い線が必ず入るのが特徴。全ての工程が手作業。今も昔も変わらない。水で消えるインクを使って下絵を描く。次に、もち粉とぬかを煮込んで作った糊で下絵のふちどりをおこなう。その後、色付けをし、色止めの薬品を塗布し水につけて糊を落とし乾燥させ、仕上げを行い完成となる。

 工程で最も重要な部分が糊で行う下絵のふちどり。糊が入った専用の道具を使う。「糊のねばり具合によって出方が変わる。ベストな握りで糊が出るように調整しないと、仕上がりに影響がでる」と職人技が光る作業だ。

 実は、と前置きしたうえで「中学生の頃、絵は苦手だった。継ぐことは考えていなかった」とぼそり。家業を意識し始めたのは大学生になって。物の見方に変化が生まれた。「白紙の状態から鮮やかな作品が生まれることに魅力を感じた」と振り返る。卒業後は家業に就く。今年で13年目。「今でも完璧とは思わない。日々修業」と自分に厳しい。

継承と発展

 大漁旗の受注のほか、近年は結婚や孫の誕生・節句、還暦他各種飾り旗の依頼が増えているという。「祝い事の意味があるからね。完成した旗を見て喜んでくれる表情を見るのがうれしい」と笑みをこぼす。

 多くの人に知ってもらおうと、作製体験を行っている。今年2月には作業場を改装し体験者の受け入れ態勢を充実させた。また、三崎中学では、卒業記念の大漁旗作りに10年前から協力している。「三浦をアピールする材料のひとつになるよう頑張っていく」と前を向く。将来は、「デザイナーとのマッチング展開もできれば」と新たな展開を模索中だ。

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