せり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろ――。1月7日の朝、この7種の”若菜”を混ぜた「七草粥」を食べる風習。昨今では、七草をパック詰めし、手軽に料理できるようになっている。実は、その多くを占めるのが三浦半島産なのだ。
横須賀・三浦にある5つの農家では『三浦七草会』を結成、平成元年から「七草パック」の出荷を始めている。その年は5万パック。それから20年余り―。この正月の出荷数は約130万パックに上る見込みだ。首都圏中心に、青森や新潟の市場からも直接注文を受けるほか、量販店などから大口の注文がある。パッケージにはもちろん「神奈川」「三浦七草会」の文字。各農園で独自に顔写真を入れるなど、産地のPRに努める。
準備は9月から
「七草は鮮度が命。いちばん良い状態で料理できるように、念入りな準備が必要なんですよ」。三浦七草会の代表・岩崎重夫さん(横須賀市)は話す。同会の5つの農園では、9月頃から七草用に栽培を始める。雨に弱い品種もあり、成長や変色にも気を遣う。
ただ、それだけでは終わらない。例えばセリ。パックの大きさに合わせて、約15〜20cmの長さに調整するのだが、岩崎ファームでは一旦収穫したものを根から5cm程にカット。それを水耕栽培し、新芽を出してから、出荷状態まで育てる。こうした手法と栽培時期・規格の調整は、20年来試行錯誤して辿り着いたもの。念入りな準備の後、洗って整えた7種類を、パック詰めしていく。
300人体制でフル稼働
作業を担うのは短期のアルバイト。ピークとなるのは元日を挟んだ1週間だ。各農園とも300人体制で乗り切る。アルバイトあってこその販路拡大。「正月はあってないようなもの。勝負はこの数日ですから」
岩崎さんは「お粥以外にも、味噌汁でもおいしく食べられます」と話す。お正月のご馳走で疲れた胃を休める意味合いもあるといわれる。今年は、地場産の『七草』でいかが―。
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