第9回県障害者スポーツ大会の3種目で上位入賞を果たした 日野禮子(れいこ)さん 東岡町在住
スポーツに託す生きる喜び
○…障害を持つ人の健康維持・向上と、当事者同士の相互交流を目的に毎年催されている「神奈川県障害者スポーツ大会」。先月・今月と続けて開かれた第9回大会に三浦市選手団の1人として出場した。年齢やハンディキャップをものともしない全力プレーで大奮闘。ソフトボール投げで2位、2種のフライングディスク競技で1位と3位をそれぞれ獲得する見事な成績をおさめた。
○…今から約30年前にくも膜下出血に倒れ、救急搬送された。幸いにも一命を取りとめたが、左半身麻痺の後遺症が残った。人間として脂がのりはじめた壮年期、人生これからという時だった。「何とか元の生活に戻りたくて、とにかく夢中でリハビリに耐えた」と、涙がにじむ目頭を押さえる。人によっては言語や歩行に重篤な障害が残ることも多いが、自身の努力と周囲のサポートの甲斐もあって日常生活に復帰できるまでになった。
○…障害者スポーツを始めて10年以上経つが、最初は気軽なリハビリ感覚だった。それまでスポーツ経験は皆無、今ほどのめり込むとは露程も思わなかったと驚きの表情を浮かべる。県大会での活躍が光り、気がつけば2001年と07年の全国障害者スポーツ大会に出場。強豪ぞろいの大舞台に臆することなく実力を発揮し、4つの金メダルをもぎ取った。「大切なのは感覚。場所の制約で練習ができない分、自分なりに掴んだコツと集中力で勝負」と分析する一方で、「あとは『やるっきゃない』という開き直りが良いのかも」と、おどけた表情をして見せた。
○…「1年間無事に過ごせたことへの感謝と、次の1年も変わらずに元気でいるための願掛け」と話すように、これまで第1回から連続出場する県スポーツ大会はライフワークであり、刻んだ記録は生きている証。「体力が続くかぎり頑張りたい」。身体を動かすことで命の喜びを存分にかみしめている。
|
|
|
|
|
|