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三浦版 公開:2016年1月1日 エリアトップへ

新春市長インタビュー 雇用創出を軸に“三浦創生”

社会

公開:2016年1月1日

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2016年の抱負を話す吉田市長
2016年の抱負を話す吉田市長

 本紙は2016年の年頭にあたり、吉田英男三浦市長に新春インタビューを行った。喫緊課題である人口減少や財政難の現状と、今後の方策を語ってもらったほか、誘客増加や市内観光の中核を担う施設のオープンなど明るい兆しが見え始めた観光振興について吉田市長の意見を聞いた。(聞き手/編集長・松野可奈子)

 ――まずは2015年の総括をお願いします。

 「昨年は三浦市市制施行60周年でした。市民の皆様と一体感を持って記念の年を祝えたと実感しています。強く印象に残っていることは、三崎口駅前の観光案内所と城ヶ島の海上イケス釣堀がオープンしたことです。市は年間誘客数600万人を目指し、近年では海外からの誘客にも注力しています。その中で、三崎口駅は東京や横浜、羽田空港から京急線を利用した際の玄関口として、大きなウエイトを占めています。ここに観光案内所ができたことは、多くのお客様に魅力を発信する絶好の機会です。

 城ヶ島の釣堀は、新たな観光の核づくりの1つとして、地元や関係団体の尽力で設置したものです。ぜひ、地域活性化のシンボルとして、多くのお客様にご利用いただきたいです。

 一方で、依然として人口減少に歯止めがかかりません。人口増加策の一環として、昨年末から空き家などを活用して2週間程度、実際に住んでもらう「トライアルステイ(お試し居住)」の実施や、東京圏などの高齢者が地方移住し、健康でアクティブな生活を送ることができる「三浦版CCRC」の構想を進めています。穏やかで住み心地の良い三浦を気に入ってもらい、多くの方に移り住んでもらえるよう、努力していきます」

 ――未だ脱せない財政難。現状と取り組みの手ごたえはいかがでしょう。

 「経常収支比率は、ここ数年100%を超えています。景気動向は緩やかに回復していくことが期待されていますが、本市は人口減少や土地価格下落に歯止めがかからず、未だ国のいう経済回復基調の兆しも見えていません。最重要課題とされる土地の売却や企業誘致に関しても、停滞状態を脱し得ない中、市税の減少等厳しい財政状況にあります。

 現在、あらゆる財源対策に取り組んでおり、歳入では市税の収納率向上、基金やふるさと納税の活用、歳出は人件費や経常経費の削減、事業の休廃止・見送り等による縮減を行っています。厳しい財政状況を職員一人ひとりが認識し、財源不足の解消に向けて積極的に取り組むことが必要です。

 ふるさと納税は2014年度、8277件約1億5千8百万円のご寄附をいただきました。平成27年度においても、前年同期とほぼ同等のご寄附をいただいているところです。こうした盛況ぶりは、農業・漁業・観光業の連携による観光振興や三浦ブランドの開発、長い期間かけて実践してきたシティーセールスプロモーションにより、本市の特産品が広く認知されてきたことが成果につながったと感じています」

 ――国が進める地方創生。昨年策定した市の総合戦略の施策事業は今年から本格始動します。

 「『三浦市人口ビジョン 三浦市まち・ひと・しごと創生総合戦略』は昨年10月末に策定を終え、『安定した雇用を創出する』『新しい人の流れをつくる』『若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる』『時代にあった地域をつくり、安心な暮らしを守るとともに、地域と地域を連携する』の4目標を設定しました。

 人口減少対策・地域経済の活性化は第1に雇用が重要です。観光業ではこれまでも、海外の旅行会社へのトップセールスや観光案内所運営・新たな観光の核づくり推進組織への支援・県推進の地方創生事業との連携に注力してきました。今後は、三崎漁港の高度衛生管理対策・多目的活用をめざす二町谷地区再生計画やCCRC構想の策定を実施するほか、新しい人の流れをつくるために、産官学連携によるトライアルステイ・子育て世代の転入促進のためのPPP(パブリックプライベートパートナーシップ/官民連携)を活用した賃貸住宅の検討も行っていきます。

 財政状況の厳しい本市にとって、地方創生の推進には、財源の確保が大きな課題です。今年度、国は2015年度補正、16年度当初予算により市町村を支援する交付金を創設予定と聞いており、有効に活用していきたいと考えています。県でも観光や定住の魅力を高める『三浦半島魅力最大化プロジェクト(仮称)』を策定しており、県・近隣市町と連携し総合戦略に掲げた目標達成を目指します」

「成果求め、実りの年に」

 ――年々増えている観光客数。小網代の森、まぐろきっぷを追い風にさらなる展開が期待されます。

 「2014年の入込観光客数は、神奈川県全体では前年より約49万人減少している中、三浦市では前年比約32万人増の約570万人でした。また、昨年の入込観光客数は、前年を上回る見込みとなっています。さらに先にあげた『創生総合戦略』においても、三浦市の入込観光客数600万人を目指しているところです。増加している観光客に対しては、引き続きリピーターとして来ていただけるようPRしていきます。今後も、民間事業者と連携しながら、三浦の地域資源を活用した新たな商品造成を図り、国内誘客営業、教育旅行誘致、インバウンド事業を中心に誘客プロモーションに取り組みます」

 ――2007年の三崎高校跡地の取得から約9年。市民交流拠点の施設整備工事がまもなく始まります。

 「昨年11月、市民交流拠点整備事業(A地区)について、株式会社ベイシアと事業契約を締結しました。同跡地については、市民が交流するための拠点を求める声が多くあり、時間がかかってしまいましたが、ようやく市民交流拠点の整備に向け、スタートラインから一歩踏み出すことができた状況です。事業パートナーである同社とともに、既存建物の解体や施設の整備等を順次実施し、少しでも早く、市の活性化の象徴として賑わいのある拠点が実現できるよう進めていきたいと考えています。

 市民の皆様にも、引き続き御理解、御協力をお願いいたします」

 ――今年1年の抱負をお願いします。

 「『実り』をキーワードに掲げていきます。市長に就任してからこれまで、民間出身者という視点で様々な取り組みにチャレンジしてきましたが、今年は成果にこだわる年と考えています。

 市民の皆様に三浦市を『あったかいまち』と実感していただけるような、実りある年にしていきたいです」

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