三浦市はふるさと納税制度に福祉施設の活動紹介や通所者の社会参加促進などを目的とした「ハートフルさと納税」を4月から導入した。これまで農水産物などの特産品が中心だったが、市内障害者施設や地域作業所で製造された品を記念品に追加。市は自治体の魅力発信だけでなく、地域福祉の充実や活動PRに繋げていきたい考え。
応援したい自治体に寄付をすると住民税や所得税の控除が受けられる「ふるさと納税」制度。三浦市では2012年度に返礼の記念品を導入すると、マグロをはじめとする海産物や新鮮な農作物などの地元ブランドの特産品が話題を呼び、寄付総額約130万円だった前年度から大きく伸び、1500万円を超える寄付が集まった。ふるさと納税の認知度の高まりと比例して、14年度は1億5800万円、15年度は約1億4600万円と推移している。
しかし、近年では高額商品を特典とするなど自治体間で記念品競争が激化。総務省は適正化を図るため、調達額の目安を寄付額の3割以下にする旨の要請を今月1日付で全国自治体に通達する事態となっている。吉田英男市長はこれまで「寄付金獲得のために華美な特典による競争は考えていない。ふるさと納税制度本来の趣旨に沿って進めていく」との姿勢を示していた。
販路拡大に期待
今月から市は「ハートフルさと納税」と銘打ち、市内の障害者施設製品をふるさと納税の返礼品として取扱いをスタート。選択すると記念品代が当該施設の売り上げとなり、就労支援や工賃アップにつながる仕組みだ。「手に取ってもらうことで障害者への理解を深めてもらう機会にもなれば」と財政課担当者は話している。
福祉課を通じて各施設に打診。第1弾の出品となったNPO法人「ハーベスト・きくな」(南下浦町菊名)では、「至福のハーブティータイムを」「癒しのハーブセット」と名付けた詰め合わせを用意。知的障害を持つ作業所利用者らが畑で丹精込めて育てたハーブを使った菓子やお茶などが贈られるという。
こうした製品は市内イベントや市庁舎内で毎週水曜に開かれる「ハートフル・マーケット」などで販売されているが、その範囲は地域に限定。新たな購入者層の開拓による売り上げ増加は容易でないという。同団体代表の石崎洋美さんは、「全国に施設をPRできる機会。すでに利用者のみなさんはやる気満々で、モチベーションになる」と歓迎している。
新年度から記念品の品目は231に拡充し、小網代の森のガイドツアー、農園でのたくあんづくりなど体験型商品を続々追加。独自路線で他の自治体との差別化を図りながら、観光誘客の増加、三浦ファンの獲得に期待を寄せている。
三浦版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|