草花や風景など身近なモチーフを描いた作品展「野崎三津夫素描展」が、カフェ「風の珈琲」(原町1の88)で開かれている。作者は手足や運動機能が不自由になる難病と闘う野崎三津夫さん(78/小網代在住)。病と向き合い、家族や通所介護施設職員らのサポートを受けて描き上げた、温かみある作品を初個展で披露している。
横須賀市出身の野崎さん。幼少期から絵が得意で、小中学校では担当教諭に絵画や版画など、さまざまな技法の教えを自ら乞うほどだった。会社員時代は自動車メーカーの設計士として13年勤務。退職後は小網代の「幸寿司」で板前として長らく腕を振るい、一時転居していた愛知でも趣味でスケッチを続けていた。
手足の動きや言葉が出にくくなるなど、日常動作や運動機能に影響が現れ、自身が難病だと知ったのは60歳のとき。利き手の右手が不自由になったことで一度は描画から遠ざかっていたという野崎さんだが、3年前から身体機能トレーニングのために「風の谷リハビリデイサービス」へ通所。リハビリに励むなかで、左手を使って再び筆を執り始めた。
ペン・色鉛筆・絵の具を駆使して描くのは、おもにデイサービス利用者らが持ち寄って飾る季節の花々。「こだわりは構図や光、空間」と話すようにカサブランカ、アマリリス、アジサイなどを素朴ながらみずみずしい筆致で描く。個展では、病前に手掛けた風景画などあわせて約25点を展示。野崎さんは「努力したものを見てもらえたら頑張った甲斐がある」と顔をほころばせた。
カフェが繋ぐ地域と人
「趣味を通じて地域との交流につながれば」。カフェでの個展開催を打診したのは、先のデイサービス施設や同店を運営する風の谷プロジェクトの長谷川由理さん。
地域の高齢者が日常的に立ち寄り、社会参加のきっかけを作るコミュニティカフェとして昨年12月に風の珈琲をオープン。ランチやカフェメニュー、持ち帰り総菜を提供しながら新たな活用法を模索していたという。「高齢者が地域へ発信する場はまだ少ない。交流によって地域内に居場所ができ、生きがいになれば。今回の個展がその第一歩」と期待を寄せた。
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「野崎三津夫素描展」/7月31日(火)までの同店営業時間内(月〜水・金曜)、6月21日(木)・7月7日(土)・19日(木)午前10時〜午後3時は作者在廊。観覧自由。詳細は【電話】046・854・9894
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