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三浦版 公開:2019年4月5日 エリアトップへ

巨大流木に魂刻んで 山田芳央さん作品展示

文化

公開:2019年4月5日

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「曼陀羅ぼっち」と制作者の山田さん
「曼陀羅ぼっち」と制作者の山田さん

 多くの観光客でにぎわう三崎のうらり1階。異質の存在感を放つ木彫りの大型作品が展示されている。その名も「曼陀羅(まんだら)ぼっち」。縦1・2m、横2・8m、重さはおよそ800kgにもなる。

 作品を手がけたのは、三崎下町「くろば亭」の“名物親方”として知られる山田芳央さん。山田さんは40年ほど前から流木を使った仏像制作に取り組んでいる。興味を持ったきっかけは、江戸時代の僧侶で仏師の円空との出会い。一説では60余年の生涯で12万体もの仏像を作ったとされ、「円空仏」と呼ばれる木目やコブ、節など風合いを生かして彫り上げる荒々しい造形に感銘を受けた。常に持ち歩くほどの愛読書だという円空の作品集は、年季が入っている。

 今回、「曼陀羅ぼっち」の素材となった大木は、約20年前に剱崎灯台付近に打ち上げられた推定樹齢100年超の流木。「二度とない木」。発見した知人から知らせを受けて見に行くと、その迫力に創作意欲がかき立てられたが、「今は彫り上げる腕がない。生半可じゃダメだ」。タイやインドネシア、中国、チベットなどアジア各国をまわっては仏像の彫り方など研鑚を積んだという。満を持して作業を始めたのは2年半前だ。

 仕事の合間を見つけては地道に制作を継続。木に付着した汚れや皮をはがして芯部分を露出すると、長年海を漂っていたのであろう形跡が刻まれていた。「円空ならどう彫るか、何になりたがっているか。木の中から現れ、見えてきたものを彫る」が山田さんの信条。この大木には、密教の考えを図示した両界曼荼羅から着想し、表に金剛界、裏に胎蔵界を表現した。木肌に不動明王や菩薩などの仏や梵字が隙間なく彫られ、中心の空洞部分は鍾乳洞をイメージしている。

県美術展に入選

 心魂を傾けた曼陀羅ぼっちは、昨年度の神奈川県美術展の立体作品部門で入選。展示中はひと際来館者の目を引いた。

 「仏像づくりは命を削っているのと一緒」。悠久の年月を経て、朽ち果てたと思われる巨木に宿る仏心を、自らの手で再び蘇らせることが醍醐味だとし、現在は桜の根の埋れ木を使った大型作品を鋭意制作中だ。今浮かび上がっているイメージは「アンモナイトやオウム貝」

 “三浦の円空”の創作意欲は尽きることを知らない。

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