介護経験をつづった「育ちゃんの介護人生の道」を上梓した 大場 育子さん 金田出身 50歳
「人が好き」原点を胸に
○…30歳を目前にして始まった認知症の義母の介護。そこから踏み出した“介護人生”をテーマにしたエッセイを上梓した。自身の人生観を変え、家族のあり方を考えさせられ、戸惑いや不安に苛まれることもあったが、それ以上に得たものの方が多かった。「いろいろ葛藤したけれどおばあちゃんを介護してよかった。後悔はありません」。あとがきに記した一文は心からの言葉だ。
○…金田の農家に生まれ、高校卒業後に京浜急行の観光バスガイドになり、寿退職するまでの約4年、国内各地に赴いた。当時も今も人が好きで、歌が好き。ガイドで培ったコミュニケーション力にも自負があり、勤務するデイサービスセンターの利用者や同僚たちからの信頼は厚い。かつてを懐古しながら「ガイドの担当は老人会が多かった。そんな点と点が結びついて今があるのかも」と、茶目っ気のある笑みをこぼした。
○…人当たりのいい性格か、それとも孫ほど離れた年齢差だったからか、姑とは馬が合った。「『朝起きたらまず化粧』と言うほどおしゃれで、こういう女性になりたいと思った」と憧憬するほど。介護の世界に入る原点となった義母は、3年前に天へ旅立ったが、人と出会い、寄り添う喜びや日常の幸せに気づかせてくれる大きな存在だ。「きっと近くで見守ってくれている」
○…ようやく人心地ついたところで50歳を迎えた。これからどう生きたいかを考え始めるも、結局行き着いたのは「人を元気にしたい、助けたい」だった。介護に不安を抱く家族を救う活動がしてみたい。介護食の料理本も書いてみたい―。車いすの押し方すら分からなかった主婦が介護福祉士国家試験に合格し、天職にも出会えた人生。「まだ50。まだ出来る」
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