「地域包括支援センターおまかせ」主催のオレンジカフェが、先月28日に三崎の喫茶店「ジュ・ルビアン」で行われた。誰でも自分らしく暮らせる共生社会の実現、認知症の予防啓発を目的に初開催。会場を提供した店主も認知症を患っており、オレンジカフェを通して当事者と地域住民が交流を深めることで、「正しく理解してもらい、支え合いが生まれたら」と主催者は展望を話した。
オレンジカフェとは、患者や家族、地域住民、医療・福祉専門職などが気軽に集まり、お茶を飲みながら情報交換や相談できる交流の場を指す。全国各地で開設されており、「認知症カフェ」とも呼ばれる。
今回、会場となったのは三崎で49年にわたって親しまれている喫茶店「ジュ・ルビアン」。開催のきっかけは、地元の老人会「日の出長寿会」の茶話会だった。毎月開いている「おしゃべり会」で認知症の勉強がしたいと、座談会形式で今年3月に開催。同店の店主が認知症の当事者ということもあって、誰もが発症しうる身近な病気であることや、発症してもいきいきと暮らせる地域のあり方について理解を深めた。参加者の評判も良く、地域包括支援センター主催のオレンジカフェとして月に1回開かれることになった。
先月28日の第1回目には12人が参加。コーヒーで 一息つきながら、講話に耳を傾けたり、ミニゲームで盛り上がった=写真上。
寛容な心が大切
同店を切り盛りする女性は、10年ほど前に認知症の診断を受けた。「昔から『忘れっぽい、天然』とよく言われていた姉で、本人も周囲も症状に気づかなかった」と妹は振り返る。異変に気づいた常連客からの指摘で専門外来へ。「もの忘れがひどくなったと早期に教えてもらい、早く治療できたことがよかった」
物をなくしたり、何度も同じことを聞かれたりと、当初は戸惑いがあったという。一時期は意思疎通に苦労もあった。「どうして分からないの、さっきも言ったでしょ」などと口喧嘩が絶えなかったが、否定せず寛容に受けとめ、ときには言動に慣れながら対応を探ったことで「今では穏やかに接することが出来ている」と話す。
認知症と付き合いながら、現在もカウンターに立つ。同店も新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、およそ1カ月休業を余儀なくされ、環境の変化に病気の進行も危惧されたが、デイサービスの利用や近隣住民・常連客の支えもあって落ち着いた生活を送っている。この日のオレンジカフェでも、慣れた手つきで自慢のコーヒーをいれ、にぎやかな店内に満足げな表情を見せていた。
地域包括支援センターおまかせの斉藤あゆみさんは「楽しみながら認知症について考え、支え合いの気持ちを持ってもらえたら」と話している。
毎月第4水曜日に開催され、次回は11月25日。申込み不要、参加費は飲み物代として350円。会場は三崎1の8の16(日ノ出バス停近く)。
詳細は同センター【電話】046・876・7557
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