「小網代観光振興活性化検討協議会」が、2018年から始めた海中熟成ワインプロジェクト。特産品づくりに障がい者の労働力をいかすことで、地域の一員として社会参加を促進する“民福連携”の取り組みが、このほど本格スタートした。今月末に新たなワインを沈めるのを前に、市内の就労支援センターで作業が行われ、同協議会は「障がい者の雇用や賃金アップにつながれば嬉しい」と話している。
区・市観光協会油壺支部・漁協・油壺観光企業組合で構成する「小網代観光振興活性化検討協議会」は、地域活性化や漁業者の新たな収入源の創出、特産品づくりなどをめざして発足した地元団体。小網代湾にワインを沈め、熟成させる「海中熟成ワイン」づくりに2018年から取り組む。
紫外線の届かない水深10m〜25mの場所に沈めると、海中の微振動や平均13℃ほどの一定した海水温によって熟成が促進。これにより、まろやかで深みのある味わいに変化するという。
今年6月、200本の試作品が陸に上げられ、試飲会を実施。味の良さやフジツボが付いたボトル=写真下=が注目を集めた。
発足当初から地域連携を掲げる検討協議会は、市内の福祉施設や生産者とも積極的に手を組む。
熟成の準備段階で発生する海水の浸透を防ぐための注ぎ口まわりのコーティング作業を、障がい者就労支援センター「どんまい」(菊名)に委託する。小網代の「大仙養蜂園」で採れた蜜蝋を湯せんして溶かしたものに、栓部分を3回くぐらせて膜の層を作る軽作業で、先月19日には約50本のワインが運び込まれ、利用者は真剣な表情で取り組んでいた。
センターを運営する三浦市社会福祉協議会の成田慎一さんは「障がいがある人や高齢者も地域の一員として活性化に参加協力できるいい取り組み」と歓迎。利用者の1人、須合彩香さんは「上手にできたと思う。楽しかった」と笑顔で話し、仕事への意欲を見せた。
京急ホテルで提供へ
今回作業したワインはクリスマス頃に海へ沈められ、半年間の熟成期間を経て来年6月に完成見込み。7月頃から観音崎京急ホテルやホテル京急油壺観潮荘などで提供されるという。
検討協議会の出口浩さんによると、現在は地元関係者らから預かったワインの熟成保管を行っており、段階的に一般の利用枠を拡充予定。将来的には、オリジナルワインの商品化も視野に入れ、試作を続けるという。
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