洋裁ボランティアサークル「三浦ソーイングオハナ」の代表を務める 茨田 光子さん 上宮田在住 67歳
家庭の温もり届けたい
○…子どもが成長して、いつしかお役御免となった針仕事。「社会で今も必要としてくれる人がいるなら役立てたい」。そんな思いから洋裁ボランティアサークル「三浦ソーイングオハナ」を立ち上げた。60歳を過ぎて、海好きの夫の意向で綾瀬市から移住。昔から考えるよりまず行動という性格だったが、大病を経験したことで自身の余命を強く実感。挑戦を後押しし、昨年発足から5年を迎えた。「これからも切れ目のない支援を続けたい」
○…洋裁を始めたのは高校卒業後、服飾学校進学が契機だった。勉学に励むうち、次第に子ども服デザイナーになる夢を抱いた。2年の通学を経て、内定を取るも結婚により断念。安定志向だった家族の勧めで小学校事務員となるも、「思いがくすぶっていた」。潰(つい)えた道を諦めきれず、服を自作しては委託販売をしていたという。思い起こせば亡き母も、病床にあってもお洒落にこだわる女性だった。「遺伝かしらね」と照れくさそうに往時を偲んだ。
○…会では、児童養護施設で暮らす子どもたちが学校で使うバッグなどを制作している。完成を今か今かと待ちわび、喜ぶ顔を思いながら真心を込めて。「様々な事情を抱えていてもみんな人懐っこくて、可愛い。そんな子たちが、家庭や家族を知らずに大きくなるなんて」。子どもが巻き込まれた悲しい事件の報を聞くと、度々社会について考えさせられる。気がつけばいつしか、与える側から子どもたちに教えられることも多くなっている。
○…週に2日、自宅1階で予約制のカフェを切り盛りする傍ら、オリジナルのランチクロスや調理帽を開発。特許を取得し、製造から店舗やウェブでの販売、卸先への発送まで手掛けている。品は違えども、若き日に一度は諦めた夢をこうして実現していることに、充実した日々をうかがわせる。「色々な形で社会に関わり合いたい。出来ずに後悔はしたくないから」
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