葉山図書館2階で「笑顔を咲かせる小池さんの切り絵展」を開催している 小池 邦夫さん 葉山町堀内在住 74歳
切り絵で広がる笑顔の輪
○…「君の干支は何?」。会場を訪れていた子どもが遠慮がちに「馬…」と答えるとおもむろに二つ折りにした紙にハサミを入れる。線も引かず、ハサミだけを軽快に走らせ、ものの2分もしないうちにかわいらしい馬が出来上がった。「うわぁ、すごい」。「これとあと好きなものも持っていっていいよ」と言うと子どもの顔がぱぁっと輝く。先月から開催している「切り絵展」ではそんな創作切り紙がずらりと並び、来場者の目を楽しませている。
○…切り絵を始めたのは定年退職してから。俳句と貼り絵に続いて趣味で始めた。「こんなのはただの遊びだよ」とぶっきらぼうに話すが、その完成度は来場者の多くが嘆息を漏らすほど。誰かに習ったわけでも、手習本を読んだわけでもない。その全てがオリジナルだ。馬に羊、龍に虎。細部まで鮮やかに表現された作品はハサミ一本で作られたとはにわかに信じがたい。しかし、どちらと言えば不器用というのが自身の評価。だから手先の器用さを問われると「昔スリをやってたんだよ。人相悪いだろ」と答えるのは照れ隠しのお決まりのジョークだ。
○…テニス歴50年。74歳になった今でも週に2日は夫人と茅ヶ崎のテニスクラブに足を運ぶ。切り絵と同じくテニスも”自己流”。「いまだにかっこ悪いテニスをやってますよ」と話すが、シニアの大会で県の代表として4回戦まで勝ち進んだこともある。健康的に日に焼けた肌と引き締まった手足は長年続けてきた賜物。一度大病を患ったが健康を保っているのは「テニスのおかげかな」とにこり。
○…5年前から月1度、鐙摺町内会で地域のお年寄りに貼り絵の指南も続けている。季節の花に魚など、作品が完成するとそこでも参加者の笑顔が生まれる。「大したことやってるわけじゃないんだけどさ、喜んでもらえるのは嬉しいよ」。不器用でも実直に。紙一枚から次々と笑顔の輪が広がっていく。
|
|
|
|
|
|