逗子・葉山版 掲載号:2012年6月8日号
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故郷、女川町の写真を撮り続けている写真家 鈴木 麻弓さん 逗子市逗子在住 34歳

復活の歩み、伝えたい

 ○…宮城県女川町生まれ。町で長年親しまれてきた「佐々木写真館」を営む父のもとで育ち、自らも写真家の道を歩んだ。昨年3月11日、津波で町が壊滅的な打撃を受け、実家の写真館も波に押し流された。両親は未だ行方不明。訪れた故郷は変わり果てた姿になっていたが、瓦礫に混ざって残されたカメラや写真器具を目にする内に決意が灯った。「父の替わりにできることは、私がやろう」

 ○…何をすべきか考えた。被害の様子は新聞やテレビが撮ればいい。それなら自分は―。「そろそろ入学式をやらなきゃな」。春先になると決まって忙しそうにする父の姿を思い出した。小学校の入学式で集合写真を撮るのは毎年父の仕事。胸に使命感が走った。「お金はいらない。自分ができることはぜひやらせてほしい」と学校に代役を申し出た。資金はブログで支援を募り、再び女川へ飛んだ。出迎えてくれた子どもたち。式では心を込めてシャッターを切った。「この日が無事迎えられてよかった」。笑顔を浮かべる子どもたちを見ると胸がいっぱいになった。

 ○…肖像写真を得意とした父の影響もあったのかもしれない。「街よりも人がどうあるか。撮り続けるべきはそこに生きる人」。それが写真家として、自身が導き出した答えだった。震災1年後に出版した写文集では立ち上がろうとする人々の足跡を追ったほか、5月に開催した写真展では女川に暮らす女性に焦点を当てた。「本当に皆頑張っている。その姿を伝えることで、見る人に女川が元気になる様子を知ってもらえれば」

 ○…継続が要になるボランティア活動。現在も多い時には月に3度ほど女川と逗子を行き来する生活だが、特別なことをしている感覚はない。「自分の街がなったら皆さんもきっとそうしますよ」。理由は一つ、女川が好きだから。「故郷の自慢がしたいし、自慢できる街であってほしい。だからそのお手伝いをするだけ」。午後の昼下がりに笑顔が光った。
 

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