金融緩和や成長戦略などを柱にした安倍政権の経済政策「アベノミクス」が展開される中、国内の景気動向に注目が高まっている。日銀も22日、5カ月連続で景気判断を上方修正するなど、国単位では明るい兆しも聞こえてくるが、地元の実感はどうか。逗子市内にある50の商店や事業所に聞いた。
一部業種で明暗分かれる
個人店やチェーン店などが集中する逗子駅と東逗子駅前にある商店街。飲食店や小売店、不動産、サービス店などを中心に50店に聴き取りをしたところ、「明るい兆し」と答えたのが9店、「暗い兆し」が11店、「変化・実感なし」が最も多い30店だった。
「明るい」と答えた商店は主に外食産業と不動産業が目立った。逗子駅前にあるイタリアンレストランの女性スタッフは「給料日後の来店がこのところ多くなった。カードの利用が多いのは来月以降の財布事情が安定している現われでは」と推察する。チェーン店居酒屋店主も「単価はそれほど変わらないが、来客数が増えた」と話す。
山の根にある工務店では問合せの数が急増した。「アベノミクスの影響なのか、消費増税前の駆け込み需要なのか分からないが、見積りなどの引き合いが多く対応しきれない」と嬉しい悲鳴を上げる。新築やリフォームの依頼も上々という。
一方、LPガス販売を手掛ける商店主は「非常に悪い」と声を落とす。例年であれば気温が上がるとガスの需要が低下するため仕入れが安くなるが、円安の影響から値が落ちないのだという。「燃料を扱う事業所は特に厳しいのではないか」と話す。親の代から写真館を営むフォトスタジオの店主は「成人式や七五三の記念写真も昔と比べて少ない。年々悪くなる一方でいつ店をたたもうかと思っている」と打ち明けた。
逗子市でも景気回復の実感は業種によって多少明暗が分かれる。しかし、その大半は「変化も実感も感じない」という声。ある女性小売店主は「(恩恵を受けているのは)都内の一部の人だけじゃないか。メディアもいい所だけを取り上げて騒ぎすぎ」と冷めたものだった。酒販売店主は「我々のような小売店に波及するにはこれから数年かかるのではないか」と見る。「企業の業績が回復して会社員の給料が上がったその後。問題はそれまで耐えられるか」。半世紀商店街を見つめてきた時計店の80代女性は「年々人通りも店の数も減っている気がする。昔のような賑わいが戻ればいいのだけど」と呟いた。
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