かつてヨット競技に親しんだ選手らが当時を偲びながらレースに興じる「東日本A級ディンギー選手権」が先月31日から2日間、葉山港で行われ、逗子ヨット協会(山路恒夫会長)の有志による「A36」艇が準優勝を果たした。大会には大学ヨット部OBなど25艇が参加。A36は最高齢83歳、競技経験者も半分以下と異色のメンバーでの参戦だったが、並み居る古豪を抑え栄冠をつかみ取った。
A級愛好家らが熱戦
大会には東大や早稲田、日大、関東学院など大学ヨット部のOBチームや地元からは逗子開成や「チーム逗葉」など計17チーム、25艇が参加。かつての選手らが「人生がひと段落した今、もう一度ヨットをやろう」と始めたのがきっかけで全日本大会は23回、毎年葉山で行われる同大会は今年で6回目を数える。
出艇したヨットはいずれも「A級」と呼ばれるもので、昭和20年から40年代には大学の公式艇、アントワープ五輪(1920年)でも公式種目として採用されていた。全長は12フィート(約3・6m)。主に木製で、1枚の帆で操舵するのが特徴。今では「クラシカルな船」として競技に使われることはほとんどなくなったが、愛好家からの人気は今も根強いという。「構造がシンプルで正確に操縦しないときちんと走らないが、逆にそれが面白いところ」とメンバー。
競技は3レース行い、着順の平均で競う。スキッパー(かじ取り役)とクルー(指示役)が呼吸をあわせ、いかに風と潮の流れをつかむかが勝負の鍵となる。A36は初戦、台風の余波で海上が荒れ、脱落するチームが続出する中、8位につけた。続く2レース目は一つ順位を落とすものの、最終レースでは見事首位をマークし、元五輪選手を擁した日大に続く準優勝を収めた。レースを振り返ってメンバーの一人は「荒天下で初戦を完走できたのが大きい。ヨット部OBチームが多いなか、良い結果を残すことができた」と話した。
83歳会長と夫人が功労
第一レースを務めたのは同協会会長の山路恒夫さん(83)=写真左=と妻の礼子さん(78)=同右。出艇したうちの10艇が悪天候でDNS(出発できず)やDNF(ゴールできず)と苦戦する中、見事完走を果たした。恒夫さんは学生時代からヨットを続けているベテランだが、礼子さんは趣味で始めて10年程度。コンビネーションが求められる競技ゆえ、長年連れ添った夫婦の「呼吸」がレースにも活きたようだ。「レースでなければ(ヨットに)乗らないくらいの悪天候だったが、風を逃がしながらじっくり攻めた。チームの勝利に貢献できて嬉しい」と恒夫さんは振り返った。
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