逗子市は、市職員がパソコンで個人情報などを閲覧する際に指の静脈で生体認証するシステムを導入する。個人情報保護を強化する目的で来年度一般会計予算案に導入費として約670万円を計上。今年7月にも運用を開始するという。
ストーカー殺人事件受け
同システムの導入は、一昨年同市でおきたストーカー殺人事件に関連する情報管理強化の一環。市から被害者の住所が漏えいした可能性が指摘されていたことを受け、対策強化の検討を進めていた。
税務や戸籍など住民情報を扱う担当課のパソコン端末に111台を設置。関係職員が事前に登録し、閲覧制限を強める。さらに個人情報を閲覧する際、画面に表示される警告の文字を拡大するなどし、改良も加えるという。同システムの導入費を含む来年度一般会計予算案は2月定例会にかけられ、議会の承認を経て来年度事業に組み込まれる。
市の個人情報への対策をめぐっては昨年11月、市長や副市長、市幹部職員らから構成される「情報セキュリティー推進本部会議」を設置。同システムの認証導入を含む対策のほか、個人情報にかかるマニュアルの管理徹底、電話など窓口対応での人的ミス防止策、全庁での研修強化など課題検討をあげ、対策を進めている。
さらに住民情報システムに接続する関係職員については、これまで離席する際にパソコンをログオフする目安としていた「長時間」を「5分」、1時間以上離席する場合には「電源を落とす」、他人のパソコンを使用する場合には「自分のIDとパスワードを利用し、速やかにログアウトする」などし、情報管理の強化に努めているという。
平井市長 情報漏えい「認める」
逗子市の平井竜一市長は先月24日、記者会見を開き、事件被害者の情報が市から漏えいしたことを初めて認めた。これまでは「情報にアクセスした記録はあるが、流出元が市かは特定できていない」との姿勢を一貫していたが、同日探偵業者の男が個人情報を市から不正入手した偽計業務妨害の疑いで再逮捕されたことを受け、「(市から情報が)流出したと判断せざるを得ない」と改めた。
会見では「容疑者が被害者の情報を不正入手し、犯罪に利用されたことは誠に遺憾」とし、被害者に対して「改めてお悔み申し上げる」と述べた。漏えいは「職員が細心の注意を払っていれば防げた可能性がある」とし、市の責任についても言及。市長自身を含む関係職員の処分も検討する考えを明らかにした。一方で情報にアクセスした職員は現在も特定できていないが、再調査は行わない方針。市民へは「多大な心配をおかけした」と陳謝した。
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