自宅で育てた菊を長年地域にお披露目している男性がいる。逗子市桜山在住の加茂幸次さん。これまで18年に渡って道路に面した自宅フェンスに「菊の壁」を作ってきたが、今年いっぱいでその歴史に幕を閉じることにした。加茂さんは「丹精込めた自慢の菊。散歩がてらに楽しんで」と話している。
逗子警察署横の脇道を入っておよそ50m。歩みを進めるとかぐわしい香りとともに高さ2m近い菊の壁が現れる。菊は「立ち懸崖」という仕立てを主に「ドーム菊」や「3本立て」などがずらりと並んでおり、赤や紫、黄色など色鮮やかな花が毎年行き交う人々の目を楽しませてきた。
勤めていた時からまちの美化活動、とりわけ花や草木の植栽に関心があったという加茂さん。「綺麗なものを見るとそれだけで心が和む。退職したら本格的に菊を作ろうと決めていた」と振り返る。逗子に移り住み、地域への恩返しにとお披露目を始めて18年。花が咲く季節になると近所の人が散歩に訪れたり、遠方からも菊目当てに見学に訪れたり、今では「加茂さんの菊」と言えば地域では馴染みの風物詩になった。
菊作りは1年がかりで日々の雑草取りや水遣りはもちろん、苗の植え替えや葉ダニや菌の付着を防ぐための消毒、大雨や風が吹けば屋内にポットを避難させたりと作業にはいとまがない。それでも「綺麗ですね」「今年も来たよ。見事だね」通行人からのそんな何気ない一言が励みで毎年続けてきた。とはいえ、気力体力を要する菊づくり。80歳を過ぎ、手間暇のかかる作業が年々負担になってきた。18年来会長を務めてきた逗子菊花会が昨年末解散になったこともあり、「立ち懸崖は今年で最後。今後は三本立てやドーム菊を細々とやっていこう」と今回を節目に据えた。「菊を見て感動してくれる人の姿に接すると多少は地域社会に役立てたのかなと思う。これまで続けてこられたことに感謝したい」。加茂さんによると菊は今月10日〜15日頃が見頃という。
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